6㌻目「部活」

私は部活が嫌いだった。


走っても遅かった私は逃げた。サボった。嘘をついた。


そのうち部活の仲間も嫌いになった。


いや、「嫌われた」から嫌いにならざるを得なかった。


毎日訪れる部活、毎日訪れる劣等感。


正直どうにかなってしまいそうだった。


ある時ふと部活中の野球部の練習を見たら、皆輝いて見えた。


厳しい練習が嫌でもそれを乗り越えてやっていた彼ら。


その姿はとても綺麗だった。


今の私は皆が通り越したスタートラインにすら立っていないのだと、


ひどく実感した瞬間でもあった。


自分で自分の芽を摘んだ私はもう輝けない。


引き立て役でいいのだ。


頑張ってきた日々の先に輝く瞬間がある。


誰もが輝ける、そこに壁は存在しない、心の壁を除けば。


結局逃げた私はどこで輝けるのか、それはわからない。


自分の居場所がどこにあるのかもわからない。


どうか私という人間が壊れる前に見つけられるといいな。


……部活に私の居場所はどこにも、なかったから

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黒歴史帳 湖帆(こはん) @kohan

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