第12話 幻聴聞きながら焼きそば作るよ
彼女とラインを続けている間に時間も過ぎるし、幻聴による暴言を聞いている間に昼前になった。さすがに朝食のバナナ一本ではお腹が空く。
そろそろ昼食を取ろうと思った。
ラインを立ち上げる。調理中はラインを返せないから先に断っておかないといけない。不安にさせるし、待たせる事になる。
「今から焼きそば作るね」
僕は昨日買っておいたソース付きで三袋入ったの98円の焼きそばを作るつもりだった。キャベツはやはりスーパーで千切りして58円のものだ。僕一人じゃキャベツ一束は消費仕切りれないから買わない事にしている。
「塩焼きそばかな?」
「普通のソースの焼きそばだよ」
「塩焼きそばの方がおいしいから今度買ってみて」
幻聴「うるさい女だろ。別れろよ。お前にはもったいない。彼女の幸せを考えたら別れた方がいいぞ」
正論だった。きちんと働いている人を見つけて結婚して幸せをつかみ取るのを応援しなければいけないはずなのに。俺の病気が奇跡的に治り、奇跡的に就職できる訳はないのだから。
正論には反論できない。
僕は幻聴を聞きながら僕はラインを返した。
「教えてくれてありがとう。今から作るね」
そう言って簡易キッチンにあるIHコンロの上に鍋をフライパンを置いてフライパンが温まるのを待つのだった。今のうちに油と焼きそばと具材を用意する。
肉の代わりに安く売っていたウィンナーを切る。
幻聴「肉も飼えないのか。この寄生虫!」
ここで声を出して反論をし続けたら本当に壊れる。
あえて反論せずにフライパンに油をしき、切ったウィンナーと千切りにされたキャベツを入れた。特に焼く時間は決めていない。何となくだ。キャベツがしんなりしたら焼きそばを入れた。ほぼ同時に少量の水を加える。後は面がほぐれるの待つだけだ。
幻聴「情けないな。そんなインスタントの延長にあるものしか作れない上に食えないのかな?さっさと働くか死ぬか選べよ。このクズ野郎」
クズ?
的確な表現化もしれない。
幻聴を聞いていたら時間が過ぎる。
麺が焦げる。僕はIHコンロの火を止めて、ソースとなる粉末を振りかけた。そしてよくかき混ぜる。僕の昼食の完成だった。たぶん味は普通だろう。
僕の昼食が始まる。
続く
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