第10話 エッジ

僕は生きると決めた。だから頑張りたい。

脳内に大きな声が響く。

幻聴「神をなめんのか!こら!死ねよ!てめえの存在そのものが犯罪なんだよ。生きている価値も生きている意味も無いだよ!なんの為に生きているんだ」

言い返してはいけないのだけど、僕は心の中で言い返す。

僕は生きるんだ。僕を必要としてくれる人がいる限り生きなければならない。

幻聴「てめぇ。ふざけるのもいいいい加減にしろ。お前を必要とする人間なんてどこにもいないんだよ。早く自殺しろ。このごみクズ」

少し涙になる。

これほど強い否定をされるのは人生でそうなかった。

役立たずなのは間違いない。

それでも無難にやってきた。

幻聴「やっと認めたか。役立たずは生きていてはいけないいんだよ。この役立たずの犯罪者!。それにお前を大切に思う人はいねーよ」

「だまれ幻聴!」

僕はついつい強い言葉を発していた。

生きると決めた僕だけど、心は壊れそうだった。狂うか普通の人間でいるかの境界線、薄い刃の上、エッジの上にたっているのだった。

刃の上に立つのは痛い。だけど狂いたくない。

だけど狂えば楽なのだろうか?

僕は狂わない。

そして生きる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る