タモリについて

https://youtu.be/W2ojakjGdEk


タモリが語る各種行事に反対する理由とソ連崩壊の関連性。


タモリの仕事はお笑いである。この講演も彼流のギャグかも知れない。これのどこがギャグかと思う。


おそらく講演タイトルにある並列された要素の規模の極端な落差がギャグであり、これをテーマに話すうち、繋がりを見てしまうことがギャグであり、そしてギャグになっていないことがギャグなのである。


タモリのこの手のギャグは、観客を巻き込んだギャグなのではないか。つまりタモリのコメディアンとしての属性から当然に期待する笑いが(この動画においてはそのふざけたタイトルも相まって)、しかし極々真面目に論を進めていくタモリをみて、「あ、これはギャグではないぞ」と客が思い直して口を結ぶ――この一連の客の仕草、これがタモリのギャグだったのではなかったか。


これは赤塚不二夫の弔辞を読むタモリにおいても言える。


弔辞の場合「お前も芸人なら弔辞で笑わせてみろ」というヒントと、のちに手に持っていたのが白紙であったことが明かされることによって、ギャグであったと気づくきっかけが用意されていた。


これらタモリのギャグは笑いのない笑いであり、笑いにならないことを笑いにしている自己言及的な笑いである。かつて今夜は最高という番組において戸川純と藍染恭子と一緒にされたシュールなコントの終わりにタモリが「コントが面白い時代は終わった」と言ったことも思い出される。


そもそも、タモリの笑いの感性は芸能界のお笑いではないところに発している。それは北京放送であり、奇妙な日本語で伝道を行う宣教師であり、人文学者等の知識人の喋りであった。これらは笑いを目的にしない言葉であったが、冷めた目で見るタモリにとっては娯楽であり、笑いであった。テレビ的な、芸能界的な笑いの文脈にタモリという笑いはないのである。



この文章も、タモリ流の笑いを目指してみたが、それが成功したか失敗に終わったかは、読者に委ねるよりほかない。

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