第83話
「当たり前でしょ……その不満そうな態度は何なのかしら……」
「酷いよ、そんな言い方……」
「酷い……じゃあ私がされた事は何?もうひとりの私が出てきたとか……あんな事が普通の人に受け入れられるとでも思っているの……買い被らないで、私はあなた達みたいに特別じゃないのよ……」
「特別……わかったよマイマイ……私達も、いきなりあんな事したのはちょっとやり過ぎだったかなって反省はしてる……でもね、勢いに任せての行為じゃないよ。私も葵ちゃんも悩んだ末に、どうやったらマイマイに気持ち伝えられるかを考えた……手紙、口頭、それこそ色々考えたよ。で結局、躰を使う手段が一番思いがこもって伝わるんじゃないかって。でも、マイマイの心が傷ついたのなら、私達は謝るしかないよ……それで納得できないなら、気の済むまで殴って殴り倒して皆に言っても構わない……さっきも言ったけど、私も葵ちゃんも覚悟はできてる……」
「私と葵ちゃんは……マイマイに恋して、愛しているんだよ……」
ふたりの想いと覚悟が、流花のいつになく冷静な口調と躰から滲む。
「葵……小さい頃から同じ女の子にしか興味がなかった……皆、葵の事をぷにぷにした躰と甘い声で男をたぶらかす作為的な女だって言うけど、葵、男になんか興味ないよ……だからって男性ファンをないがしろにしてる訳じゃないよ。応援してくれるのは嬉しいし励みにもなる。でも、葵は同性が、流花ちゃんが好き……始めて流花ちゃんに逢った時、この
「葵ちゃん……」
より深く葵を引き寄せる流花。
「マイマイを観たあの日、葵達が求める完璧な女だって感じた……あの場でちょっとイキそうになった……実際、ちょっと濡れた。マイマイは意識すらしてないと思うけど、葵には甘く焦がす蜜がその躰にたっぷりと詰まった女神にさえ観えた……躰、心、快楽を湛えた秘所……全てが欲しかった。そして、実行した……思った通り、マイマイは甘かった、美しかった……気持ち良かった。もっと味わいたかった……これが、葵達の素直な気持ち……」
より流花に全てを預け、その戦略的視線を「封印」しているだろう葵の想いは、流花の想いと織り重なり、真実味がより昇華する……。
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