第72話
「帰っちゃぁ……ダメだよ……」
ドアと私の間に、躰を滑らせ、立ちはだかり、流花が艶かしく言った。
「マイマイも疲れたでしょ……今日はここに泊まって行きなよ……」
声の艶を増した流花が、私の耳元で囁く……。
「うふっ……心配しないでぇ、何もしないよぅ……ただぁ、一緒に添い寝してくれるだけでいいからぁ」
いつの間にか私の腕に絡みつき、ねだり声の葵が、反対側の耳元で誘う……。
「葵……」
葵の姿は……全裸だった……。
「本当に心配しなくていいよぅ……」
更に戦略的な音質の葵が、甘い眼でねだる。
「何してるの葵、流花……私は帰るのよ……」
「帰らないで……」
流花は後ろ手でドアを施錠し、私の退路を塞ぐ。
「ちょっと……」
施錠された音を合図に、両腕を拘束された私、葵、流花は、じりじりと確実にマットレスの方向へと躰が向かう。
「葵、流花……やめて……」
そうは言い、抵抗し一旦はドアに近づくが「尋常」ではない葵と流花の力で押し戻される。
「んふふふっ……可愛いっ、マイマイ」
焦る私に葵がゆっくりと呟いた。
「大丈夫……」
流花が舐める様に言う……。
「だい……じょう……ぶ……」
葵が更に甘い蜜を湛え、言う……。
「大……丈……夫……」
流花が艶かしく語る……。
葵と流花の発する言葉の振動が、耳から体内に浸入し、私の心に蜜をかける……。
左右の耳元で、交互に繰り返される「快楽」へと導こうとする秘語に、私の理性は少しづつ溶解してゆく……そうはっきりと認識した時には、流花が私を羽交い締めにしながらマットレスに横たわっていた……。
「じゃあ……いくよ……」
羽交い締めのまま私の上半身を起こし、アイボリーホワイトのジャケットを流花は剥ぎ取る。
「この色使い……すっごくエロいよマイマイ」
流花の感情が
当然「そんな風」な意識をしての服装の色使いではない……アイボリーホワイトの上下のスーツ、淡いピンクのシャツ……何かを挑発する訳でもなく、ただそれがクローゼットにあったから選んだ。化粧だって寧ろ施していないに等しい筈なのに……。
「じゃあ……いくよぅ……」
葵がマットレスに乗り、私の正面で物欲しそうに右手の人差し指を舐めながら、シャツに手をかける。背中の流花は、私を押さえつつも甘い吐息を耳元に届けながら「器用」に自分の服を脱いでゆく……。
「本当にやめてっ……」
最終勧告……しかし、葵によってシャツは放り投げられ、白いブラジャーとストレッチパンツ姿となった私に言葉の威力と説得力はない……。
そして私、流花と葵による快楽に溺れ、浸り「穢れた」夜が幕を開ける……。
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※ご注意……
第73話から第79話まで性描写が展開されます……性描写は避けたい、苦手、不快に感じるという方は、第80話までスキップされる事を推奨します。
よろしくお願いします。
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