第2話 お母さん、キレイ

私は、とてもズル賢いガキでした。

何処で "その技" を覚えたのか自分でも記憶にないのだが……。


私は、悪戯をして母に怒られそうになると、決まって、


「お母さん、キレイ!」などとホザいていた。


すると、母は振り上げた拳をおさめ、


「この子ったら……もうやったらアカンよ」と、折檻を逃れていたのである。


え?

私の母が綺麗か? だって?

そんな訳ないやん!( ̄w ̄)


しかし、毎回毎回うまく行く筈もなく、


「そう言えば許されると思ったら、大間違いや!!( ̄口 ̄怒)」


「キレイって言ったやんかぁ!(T口T)」


と、折檻を受けることもシバシバあった。


それを知ってた近所のオバチャンは、


「オバチャンはキレイ?」


などと、よく言ってきたりした。


ハッキリ言って違うのだが……その右手に在るお菓子を見逃さなかった私は、


「キレイ・キレイ!(^o^)」


どこかで、良心が働いたのだろう。

思わず言葉を2回繰り返してしまった。


「キレイは1回で良いねんで!」


それでも、オバチャンは気を良くして、お菓子をくれるのだった。

でもね、この技が通用するのは、低学年までだったよ。

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