第11話 工業地帯、朝5時のコンビニ

 遭遇率 ?


 深夜のコンビニ、という場所は基本的に客が少ない。

 それは少し考えれば誰でも納得出来るはずだ。

 勿論、都市の中心部や飲み屋街など場所柄によっては深夜に活気あふれるコンビニもあるが、基本的に大体は深夜になると人通りは減るし、客も減る。

 それでは、その減った客がまた増えてくる時間帯はいつなのか?


 それは朝の五時頃である。


 少なくとも、この工業地帯のコンビニ群ではそうだ。

 

 朝の五時頃、ここには白いバンやトラックが何台も集まりだす。

 その車から出て来るのは当然、作業着やニッカポッカを着た男達。

 彼等はコンビニに入り、買い物をするわけだが、買う物は決まっている。

 弁当類と飲み物だ。

 彼等は工場内で勤務するタイプの作業員ではなく、現場作業員、要するに依頼を受けて外へと作業をしに行くタイプの仕事をしている人達である。

 そういう仕事柄、朝早く会社へと集合し、そこから揃って出発して朝の内に現場へと到着してないといけない。現場まで車で一時間、二時間かかる場合もある。結果的に朝飯が摂りづらくなるわけだ。未婚男性なら特にそうだろう。そこでコンビニが活躍する。


 それともう一つ。

 朝の内に昼飯を買っておく、という事も少なくない。

 業種にもよるが、日によって色々な現場に行く仕事などは特に、昼飯の確保に手間取る場合があるのだ。

 まず田舎や工業地帯の場合、そもそも食べ物を売っている店が近場で見つからない事がある。


――田舎はともかく工業地帯なら何か店があるだろ?


 と思う人もいるだろうが、埋立地とか山や田畑を切り開いて比較的最近作られたような地域だと本当に工場しかなかったりする。

 それでも工場内で働く従業員は社食があるので問題は起きない。困るのは外から作業しに来てる業者だけである。

 あとは都市部で近隣に飲食店が多い場合でも、作業着では店に入りにくかったりして困る場合もある。


 そんなこんなで現場作業員の列が朝の七時から八時頃まで続く。

 その頃になると学生やサラリーマンの姿が増えてきて、そこからは客層が変わるのだ。




 そしてまた今日も一日が始まる。

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