二章 合間  咲夜とは

「・・あれは何だったのですか」


道路の修復作業を行ないながら、橘さんへと問いかける。


あの戦闘から数十分。気絶した咲夜さんを家に運んだのち、私と橘さんは破損の酷い道路の修繕を行っていた。


「・・何のことだ」


こちらを見ずに会話をはぐらかそうとする橘さん。


「咲夜さんのことです」


「・・・・」


作業を止め、こちらに顔を向ける橘さん。


「・・彼は何者なんですか」


さっきの戦闘、硬質化だけであのような芸当ができるわけがない。それに、力を制御出来ていないようだった。


「・・すまない。俺から話すことは出来ない」


橘さんは申し訳なさそうに回答を否定した。


「そして虫がいいことを承知で頼む。咲夜が話すまで待ってくれないか」


深々と頭を下げる橘さん・・ここまでされて拒否できるほど私は非情な人間ではない。


「分かりました。咲夜さんが話すまで待ちます」


「・・感謝する」


「ですが・・咲夜さんに催促することは認めてもらいますよ」


「ああ。構わない・・そうだ、礼というわけではないがこれだけは教えておこう」


再び私を見ながら橘さんは助言をくれる・・意地悪そうな顔をして。


「あいつは約束を守ることを重要視する男だ。だから、何かしらの約束をすることをオススメする」


「・・?それはどういう・・」


私の言葉を聞くことなく作業に戻ってしまう橘さん。どうやら質問は受け付けないつもりらしい。



謎の力を使う人具使い・・私の目的とは関係ないでしょうが、気になりますね。

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