第5話浄水場


原田「ところが地下水は大量に京都盆地へ流れている」

山本「そういうことだ」

   皆、うなづく。

   車、トンネルに入る。


○大津、疎水の流入口

   疎水流入口にかかる橋の脇。

   6人のワゴンが止まる。

木村「割と小さいのね」


山本「ところがこの下に数倍の地下水があるとすれば」

木村「そうか」

   皆、流入口を覗いている。


山本「さあ行くぞ!この疎水の後を追って」

皆「はーい」

   皆、車に乗り込む。


○逢坂の関

   石碑が見える。

   6人の乗ったワゴンが来る。

   ワゴンが止まる。


○五条バイパス

   ワゴン、五条バイパスから旧道へ入る。


○山科駅前

   ワゴン、旧道山科駅前の信号で止まる。


○車内

   ワゴン、信号で止まる。

山本「この山すそに沿って南禅寺まで」

木村「まっすぐ行けば清水寺じゃないの?」


木村「ここが逢坂の関?」

高田「そう、知るも知らぬも逢坂の関」

山本「この下を疎水のトンネルが流れている」


   皆、うなづく。

太一「トンネルが流れるん?」

亜紀「トンネルは流れへんやろ?」


原田「さあ、次へ行くぞ」

   皆、車に乗り込む。

 車、動き出す。


○日ノ岡

   ワゴン、旧道を御陵から日ノ岡へ。


○車内

   日ノ岡の坂を上るワゴン。

山本「この峠の下に疎水のトンネルがある。清水の

 裏山に大きな浄水場があって、その手前から

 南禅寺で疎水は地上に出てくる」


高田「ここが浄水場。五月のつつじで有名な所や」


山本「さあ、清水へ行ってみよう」

原田「ここんとこずっと工事中や、ここら辺」


山本「京阪が地下にもぐったからや」

   皆、うなづく。


○道路

   工事中の標示と点滅ライトが続く。


○マンホール

   工事中の柵の向こうにマンホールが見える。

   マンホールのふたが動いて、

   忍者が出てくる。


○清水坂

   たくさんの土産品店が続いている。

   観光客に混じって6人が歩いている。

木村「いっぱいやねえ」


高田「ひさしぶりやわあ。京都におってもほとんど行かへん」

亜紀「ああしんど」

太一「もっとゆっくり歩こう」


原田「結構きつい坂や」


山本「大雨の時は店のシャッターが下りて鉄砲水のように

 一気に水が五条まで下るそうや」


原田「すごいな、そのまま鴨川へか。昔はよう氾濫しとった」

山本「そうや。鴨川もしょっちゅう氾濫しとった」

原田「今でも目一杯の鴨川、見たことあるで」


高田「鴨川て、結構あふれそうになるんよ」


○清水、能舞台

   観光客に混じって6人がいる。

木村「すごいわー」

高田「わあ、きれいやわあ」


原田「これが流れる?」

山本「地下水が関を破って寺ごと押し流すってか?」

原田「膨大な地下水をせき止めれば、ま、まさかとは思うが、

 やれんことはないか」


 皆、あちこち眺めてから集まる。 山本「それじゃ、男達は裏山へ。君たちは不老の滝  付近を探ってくれ」    皆、うなづく。○山林    山本、原田、太一が雑木林の中にいる。 山本「ここらへんが清水の真裏あたりだ」    太一、何かを見つける。


太一「なにこれ?」

   原田と山本が駆け寄る。

   直径15cm高さ2m程の筒がある。

   ちょっと目には木の幹に見えて分からない。


山本「これはひょっとしたら?太一覗いてみろ」

   原田、太一を肩車する。

太一「ただの空洞です」

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