第4話雨の参道
○京都府警本部、正面
○同、本部長室、内
山本本部長がデスクに座って手紙を読んでいる。
本部長「『水無月の長刀鉾に誘われて流れ去り行く
清水能舞台』か。水無月と言えば6月。長刀鉾は7月だ。
清水寺が梅雨の終わりに消えてなくなると言うのか?」
ノックの音。
出羽と亀山が入ってくる。
出羽と亀山「失礼します!」
本部長「よし、ごくろうさま!」
本部長、立ち上がる。
○清水道
雨が降っている。
出羽と亀山、傘をさして歩いている。
清水にいたるかなりきつい坂。
両側に土産品店が続く。
かなりの観光客がいる。
出羽「きつい坂やなあ」
亀山「大雨の時には五条通まで川のようです」
出羽「大雨か。何で水無月と言うのやろな?」
亀山「・・・・・」
出羽「神無月と言うのは11月に神様が皆出雲に
集まるから他は神がおらんようになるからやろ?」
亀山「出雲と言えば大昔の大神殿がちょうど清水の
能舞台のような大木で造られていて、日本海には
埋没した大神殿があるそうですよ」
出羽「埋没か・・・それはないやろう」
○清水寺、能舞台
出羽と亀山、あちこちを見て周っている。
亀山「すごいですね」
出羽「すごいな。・・埋没はないやろう?」
亀山「そうですね。埋没はありませんね」
二人、欄干から市内を見渡す。
○不老の滝
観光客に混じって出羽と亀山がいる。
出羽「これを飲むと長生きをするらしい」
亀山「願いがかなうとか何とか。
地下水ですかね、この水?」
出羽「そうや、地下水や。京都盆地の地下には琵琶湖
と同じくらいの地下水脈が流れているそうや」
亀山「そうですか。ちょっと掘ればすぐ水?」
出羽「そうや」 亀山「きよみず?」 二人、不審げに顔を見合す。○161バイパス 皇子山付近。 6人が乗っているワゴン車が見える。○車内 原田が運転している。 琵琶湖が見えてくる。 皆「わあ、きれい!おおきい!」
山本「これは琵琶湖のほんの一部だ」
木村「勢田川から宇治に流れているのよね」
高田「そやそや」
山本「そのほんの一部が疎水として南禅寺へ
トンネルを通って流れている」
高田「ああ、あの蹴上けあげの疎水がそうなんやね」
山本「それまでは舟を琵琶湖まで上げとった」
木村「だから、けあげ?」
高田「そうや。その時の舟が残ってる」
原田「琵琶湖の水は五条通を通らんと、なんで
宇治のほうを流れとるんやろ?」
山本「えらい、原田!それで疎水のトンネルやらを掘らはった
んや、何とかいう人が。その人と同じくらいえらい!」
原田「答えになってへんですよ、先輩」
山本「比叡山や大文字山、音羽山は大昔同じ一つの山やったらしい。
何回かの噴火で逢坂の関あたりが隆起して琵琶湖の元をせき止めて
しもた。それ以降勢田川のほうに、そっちのほうが標高が低いから
全部流れるようになったということらしい」
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