19話 『最期の変化』

【シザ西部 ゲイザー農園】

 農園の中はどことなく空気が新鮮に感じられ、育てている果物の香りがほのかに漂っていた。

農家を入れた五人の中でも一番鼻が利くミルは、果物の木が立ち並ぶ中を通る際に鼻で深く空気を吸って香りを楽しんでるようで、大変嬉しそうだった。


「オレンジの木はもう少し奥になります」

 ゆっくりと五分程真っ直ぐ歩いたが、農園は広いのかまだ先がある。

 農家が四人を案内すると同時に、通り見た果物の成熟度や品質を確認して進むと、次第に木に実る果物の皮の色が、黄色から橙を帯びた黄色へと変わり、実数も増えていた。


「コレがオレンジの木です」

「沢山生っていますね」

「せっかくですので、皆様食べてみますか? 」

 農家が木からオレンジを四つ採ると、バルカス達四人に手渡した。


「すまんな、礼は後でする。いただくぞ」

「いえ、もちろんです。少し早いですが、程よく甘いですよ」


 手渡されたオレンジを見つめるミルであったが、いざ食べようとするとどうも分からない。

今まで果物は皮ごと食べていたし、ビンセント達と出会ってからというもの、既に皮が剥かれた状態か加工済みの状態であった為に、オレンジの皮を剥くという事を知らなかったのだ。

 そんなオレンジを貰ってから周りの四人を見渡すミルに気が付いたビンセントは、オレンジを食べない事に不思議がり、その理由を察し知る。


(そういえば、ミルって、自分で果物の皮を剥いたりして食べたことが無かったな)

 ビンセントはミルを手招くと、自分の貰ったオレンジの皮を剥いて見せた。

「おぉ! 」


 外皮を裂き、中からは白い繊維が付いた果肉覆う薄皮が見えた。

ミルがビンセントの剥くオレンジを、自分も真似て剥き、同じように薄皮と種を取ると、中からはオレンジの香りがより一層解放され、鮮やかなオレンジ色の果肉が露わになった。

 ビンセントがその状態でオレンジを食べると、ミルはビンセントに食べ方を教えてもらった礼を言って、同じように口に入れて食べた。


「美味しい! 」

 ミルの反応に皆も微笑み、オレンジをそれぞれ食べた。

「濃くて美味いオレンジだな、オレンジによって味も違うのか」

「その通りでございますバルカス様。そのオレンジは、今のような日差しが強く、暑い時期に成熟して収穫される物で、オレンジによっても品種の違いという物がございます」


 バルカスの問いに答え、農家は四人にオレンジの説明をして聞かせた。


 四人が今食べたオレンジは、一年の間、涼しい季節から暑い季節を通す中期の間に栽培されるオレンジで、『バレンシアオレンジ』という品種である。

 またこのゲイザー農園では、シザ国全体に対してオレンジを供給している為、中期以外の時期のオレンジ需要も高く、別品種で『ネーブルオレンジ』というオレンジも作っている。

 こちらのオレンジはバレンシアオレンジと違い、中期が過ぎたあたりの終期初めから、初期までの寒い時期に収穫される。

この収穫時期に対して、二種のオレンジを使い分けることで、一年の間シザの供給か欠かせる事なく回せているのだ。


「また先程お召し上がりになられた『バレンシア』は酸味が強いもので、果実や絞った果汁共に劣化が遅く、加工や調理をするのに向いています。また別品種の『ネーブル』は甘味が強いのですが、バレンシアと違い、劣化が少し早いので、あまり加工向きではありません」


 歩きながら説明される中、四人は片手にオレンジの皮をもって農家の話を聞いていた。

「あ、じゃあ昨日呑んだオレンジジュースなんかは、バレンシアオレンジだったのかな」

「この時期に絞られて作られたジュースであれば、バレンシアオレンジですね」

「確かに酸味が利いてて、暑い中サッパリしたわ」

「熱い季節には、程よく酸味のあるオレンジは最高の果物ですからね。喜んでいただけて幸いです」


 オレンジが無くなり、オレンジの皮だけとなったのを見て、農家は皮を回収しようとするが、振り向き見た目の前の不思議な光景に唖然としていた。

「あ、あの……、オレンジの皮を……」


 ビンセントが開いた境界にオレンジの皮を棄てていたのだ。

ついでに手に付いたべたつく果汁も取れるのだから便利である。


「あぁ、お構いなく。オレンジ美味しかったです。ありがとうございました! 」

「よ、喜んでいただけて幸いです」

 境界を見てからというもの、農家はビンセント達を更に意識するようになったが、バルカスのお連れという事を意識すれば、その疑問や少し抱いた恐れも霧となり消えた。


 四人を連れて一通り農園を見て回り、農園の入口にまで戻ってきた。

途中グレープフルーツとレモンも貰い食べ、四人は農家に礼を言った。


「ありがとう。ここの農園の果物は美味い」

「そう言っていただければ、感謝の極みでございます」

 バルカスは農家に礼を言い、食べた果物分の礼金を払おうとするが、農家はそれを拒んで逆に礼を言った。


「バルカス様、お礼はいただけません。お礼を申し上げたいのは我々でございますから」

農家はそう言うと、膝をついて続けた。

「パッシィオーネを近づけさせないバルカス様の働きには、西部の者全てが理解しているつもりでございます故……」

 農家は膝をついてそう言うと、周りの農家の者も皆膝をついた。

バルカスは少し困り、礼金を引っ込めて皆に立つように言う。

バルカスの言葉に皆従い立ち上がると、皆でバルカスに礼を言った。


「参ったな、そう言うことならその礼を受けようか」

「決して足りぬものですが、受け取っていただけると幸いです」

「いや、果物はどれも美味かった。十分だ、今日は邪魔したな。ありがとう」

 バルカス達は農家に見送られながら農園を出ていった。


「バルカスやっぱり人気者じゃない。東部ではまだ恐がってる人もいるかもしれないけど」

「別に人気者じゃないが、まぁ、確かに私は西部の方が関わり深いからな」

 四人は今出たゲイザー農園に沿って道を進んでいく。


「改めて外から見ると、あの農園大きいな。周りの農園も広そうだが」

「そうだね、中にいると果物の木だらけであまり見えなかったけど」


 凸凹でこぼことした他の土地と変わり、この農園はフラットである。

また広さもいえば、シザ西部の中では最大級であり、主要とされていた。

 ゲイザー農園の周囲にもいくつか農園があるが、別農園でありながらも、その農園をゲイザー農園の一部としている農家もあった。


「このまま道を行けば、シザ西部の街だ。同じく静かな場所だがな」


 歩き進むと農地から抜け、人の数も増えてきた。

周りの建物はバルカス邸周りの廃墟や、東部の建築物同様にやはり白石の積まれた建物であった。

 街を歩いていくと人々に出くわすが、バルカスが通れば決まってお辞儀をして挨拶をした。

それはいつもの事だが、バルカスの目に映る民は、いつもと少し様子が違った。


「……どうしたんだろうか、人々の様子が少し違う」

 いつも以上にバルカスの顔色をうかがう眼差しを向ける人々にバルカスは疑問を持ったが、民の言葉に納得する。


「バルカス様が、バルカス様が大剣を背負っていない?! 」

「本当だ……一体何があったんだろうか、いや、むしろこれから何かが起きるのか!? 」


 民の皆が合わさって考察し、コレを何かの非常事態の前兆とみるものまでいた。

更にはバルカスを心配し、飲み物を渡してくる飲食店の者も現れる。


「……なぁビンセント。やっぱり大剣背負った方が良いのかもしれん」

「まさかここの人達にとっては、バルカスが大剣を背負っていることが当然だったなんてな、流石にそこまでとは思わなかった」

「わわっ、また飲み物貰ったよ! ……いいのかな」


 バルカスだけではなく、ミルが次に飲み物を貰い、ついには四人全員が片手に飲み物のカップを持つことになった。


 コレは七割善意であり、二割の心配によるもので、一割の恐怖心を混ぜた飲み物だった。

ミルが飲み物を飲みだすと、周囲からは安堵の声が漏れる程であり、バルカスがカップの飲み物を飲み干して礼を言うと、あたりからは安堵に付け加えて歓声が聴こえた。


「……皆。何を心配しているかは知らんが、私が大剣を背負っていないのはただの気分だ。皆がそんなに気を遣うことは無いぞ! 」


 バルカスがそう言うと、数人は立膝を付いて了承するが、バルカスが通り過ぎるまでその場を動かなかった。

「なんだろうな、私は日頃からもっと気軽にするように言ってるんだがな。いつもこれなんだ……」

 いつも通りの反応に戻った民達は、バルカス達が通り過ぎると更に一礼し、元に戻って行った。


「皆に認められてるんじゃないかしら、いいことなんじゃない? 」

「流石だなバルカス。ただ、民の想いが大分強いな」

「凄いよバルカス! 」

 バルカスは少し照れながらも、ビンセント達の称賛を受け入れた。

「国王らしいことはあまりやってないがな、やってる事と言えば国の用心棒みたいなものだし」


 だがそのおかげで、今までパッシィオーネからの被害を最小限に抑えられてきたことは事実である為、

それを分かっている西部の民達は少し恐れながらも、皆バルカスに感謝をしていた。


「――にしても、初めて俺達がシザに訪れた時のダボが言っていたような事、別にないよな。手が付けられない程恐ろしいとかなんとか」

 ビンセントの言葉にピクッと反応するバルカスは、少し照れくさそうに答えた。

「あいつはあれでも私の事を理解してるさ。多少オーバーに表現したのは、たぶんビンセント達を炊きつける為だったんだろう」

「そういう、事なのか? 始め聞いた時は、色々とやり過ぎなバルカスが国家を脅かす化物みたいな言い方だったからな」

「ははっ、まぁ最初から目的は同じだったんだ。でも実際、私が酒で悪酔いして問題を起こしていたのは事実だし、あいつにとっては私は確かに脅威だったかもしれんな」

「まだダボの強度面は知らないが、バルカスの拳を出合頭にぶつけられれば確かにそうかもしれんな」


 ビンセントが冗談でそう言うとバルカスも笑うが、実際バルカスの拳を一般人が受ければ死んでしまう可能性がかなり高いので、あまり冗談になっていない。


「でもほら、ダボはバルカスを理解してるからこそじゃない。心配してたんでしょう」

「まぁ、カミラ達と初めて会った日のダボとの別れ際に、その、――小さくそんなことを呟かれたよ」

「ほらね! 」

「お、なんて言ったんだ? 」

 顔を赤くするバルカスだが、もしこれ以上にこの場にいて赤面する人物といえばダボの事だろう。

「そ、それは言えん! 」

「……あぁ、そうか」

 ビンセントは静かに察した。

「察するな!! 」


 ビンセントの元からある一番卓越した能力は、片寄ってはいるが物事への理解だろう。

無駄な事でも察するビンセントの反応は、カミラを恥ずかしめる事がよくある。

「もう、ビンセントは……」

「えっと、ん? 」


 しかし、空気を読む点において重要なことは察せないというのもビンセントである。

小っ恥ずかしい思いもしながら暫く進むと、樹が立ち並ぶ場所に出た。


「あれが元サンス王国の城レーン城だ。ダボの所のラス城と同じく、今城内では私の部下が仕事をしているよ」

 バルカスに付いて行き、樹に沿って歩いていく。

暫く進むと、大きな樹の囲いから一部突き出たように樹が並び、樹の隙間からは黒い石壁が見えた。


「初めに、ここにいる私の元戦友から紹介する。……その後城を案内しよう」


 樹の囲いに沿って歩くと、黒鉄の格子状の両開門が見えた。

格子の奥は前面を樹と黒石の壁が並んでいる為に確認できない。


「鍵がないわね、コレも魔法門なのかしら」

「その通りだよカミラ」

 バルカスは門に触れると魔力を込めて、両の取っ手を下におろすと、そのまま引いて開いた。

「さぁ中に入ってくれ」


 言われるままに中に入り、バルカスは再び魔法門を閉めた。

そのままバルカスに続いて前面の木と黒石壁を右に避けて進むと、色鮮やかな、小さな花が無数に咲き詰められた花畑がそこに在った。


「――よぉ、久しぶりだなお前等」


 バルカスがそう言って花畑に入り、ビンセント達も続くが、三人はそれをただじっと見ている。

目に映った物は、花畑の中央に在る大きな白石の墓だった。

石には文字が刻まれており、それが人の名前であることは容易に分かった。


「ねぇバルカス、戦友って――」

「……殆ど死んだよ。今元バルカス小隊で生き残ってるのは、私含めて三人だ」

 バルカスは一つ吐息を洩らすと、その場にしゃがんだ。


「――元からあった病気か呪かで死んじまった。賢者が言うには、奴隷の飼い主がくっ付けた魔法の一環で、要するに逃げたら死ぬっていう魔法だったらしい。魔法体の菌を生成して、体の中の魔力と体力を喰い、命を喰う。……いつ死ぬかは分からないが、いつかは絶対死にぬという質の悪い魔法だ」


 バルカスの言葉にカミラは眼を細め、過去を振り返って死因の正体を掴んだ。

「『カースドロム』……、ウィッチが使ってた魔法ね」

「そう、それを雇われた賢者が覚えたものだ。永続的な効果を持つ魔法で、解除も容易ではない。三人は解除できたが、二人は既に手遅れだったよ」

「……一応聞くが、バルカスは大丈夫なのか? 」


 ビンセントの問いにバルカスは答えられず、黙り込んでいた。


「バルカス? 」

 ミルはバルカスに触れて顔を見ると、ミルの目に映ったバルカスの表情は、寂しく微笑みながら涙を浮かべていた。


「……カミラ、そのカースドロムっていうのはどういう物なのか分かる? 」

 ビンセントはカミラを連れて少し離れて、小さな声でそう尋ねた。

「魔法で増殖する菌型の召喚獣みたいなものよ。ただ召喚獣と違うのが、永続的なところ」

「その召喚獣自体に核とか、元々のバルカスの体に無い物があれば俺の境界で分けて取り出せるが」

「カースドロムに核はあるけど、魔法が解かれていなければまた増え続ける。だけど解かれていれば助かるわ! 」


 ビンセントとカミラは魔法が解かれているという事に賭け、バルカスに声をかけた。

「バルカス、カースドロムは解かれているか? 」


 ビンセントの問いにバルカスは首を横に振った。――つもりであったが、最早体が自由に動かない様子で、微かにしか動かなかった。

 ビンセントとカミラは神妙な表情をして顔を見合わせ、お互いに頷いた。


(たとえ魔法が消えていなくても、カースドロムの細菌を取り出せば、少なくとも勢いは緩くなるだろう)

 それでも応急処置程度にはなるだろうとビンセントは思い、今にも死にそうなバルカスに向かって口を開いた。


「――おいおいバルカス、忘れてないか? 俺は『境界』の能力者だぞ、今からバルカスの体と、体内にいるカースドロムを分けて出す」

 ビンセントの言葉にバルカスは嬉しく思うが、これといった反応が出来ず、倒れたまま微かに苦笑して見せた。


(カースドロムを理解していない以上、俺がそれを判断するのは無理だ。ならば――)

「召喚魔法ミーちゃん」

 開かれた境界の中から、更にヒビ割れ境界が現れた。

 ビンセントはカースドロムという魔法体を知らない。

それではいくら境界でバルカスの体内をいじれるとはいえ、何にもならない。

ならばと思い、召喚魔法で『ミーちゃん』を召喚した。


「ヒィゥウ――」

「ミーちゃん。バルカスの体内のカースドロムを体から分けてくれ」

「ヒィウ! 」


 花畑に崩れたままグッタリしているバルカスにミーちゃんが近づく。

そのまま触れて体に入ると、そのまま通り抜けた。

ミーちゃんが自身の境界を広げると、黒緑の靄状もやじょう髑髏どくろが現れた。


「……私もカースドロムの『姿』を見たのは初めてだわ」

 カミラが言うカースドロムのその姿である髑髏どくろもやは姿を歪ませ、まるで笑っているように見えた。


「ミーちゃん。カースドロムを残らず殺し食ってくれ」

「ヒィウ! 」

 ミーちゃんから青いオーラが漂うと、そのままの境界の形状で髑髏どくろを呑み込んだ。


 バルカスの体から分けられた髑髏どくろは跡形もなく消え失せたが、ミーちゃんはバルカスの体内に同じモノの気配を再び感じ、バルカスの体内の髑髏どくろを食いに行った。


 バルカスは気絶していたが、ミーちゃんに体内のカースドロムを喰われてからは衰えが遅くなり、意識も取り戻す。

「――バルカス、バルカス! ……大丈夫か? 」

「――ぁぁ、あぁ、少し、楽になった」

「……魔法をどうにかして解かないと」

 一時の安堵を得るとカミラは今までの経験を思い返し、魔法を解く手段を探り始めた。


「魔法を解くの? 魔法を解かないと、バルカス死んじゃうの? 」

 ミルは半ベソかきながらバルカスにしがみつくが、そんなミルを見て、ミルの発言と同時にカミラは思い出す。


「私魔法解けるよ! 」

「それだぁ!! 」


 ネスタ山の奥地にある元ドラゴンの巣で、カミラの『力』の無限上昇を初期化させたミルの能力を思い出したカミラとビンセントは、希望に満ちた表情で互いを見る。


「創造スキル能力の『力』を打ち消せるんだから、魔法は余裕よね! 」

「うん。私はエネルギーの存在があれば何でも解けるよ!! だから、ね、バルカス、しっかりして! ねぇ、カミラにビンセント。いいでしょ? 少しだけドラゴンに戻るよ! 」

 ミルの泣きながらの懇願に、それとは関係無く二人は声合わせて即答する。


「いいよ! お願い! 」

「ありがとう!! じゃあ戻るね! 」


 ミルは白に輝き、体を変化させた。

角が生え、翼が生えて尻尾が生えた。

その姿は半人半龍ではなく、大きさこそ迫力は無いが、完全なるドラゴンである。


(おぉ、これで安心だが、流石に騒動になるな。……境界で覆うか)

 圧倒的な雰囲気。オーラが解放され、墓石や黒石壁にはヒビが入る。

ビンセントはミルの変身を見て、墓の中を境界で覆った。


 咆哮と共にミルの角が光輝き、花畑を覆い、墓を覆い、咆哮と光は全て境界に呑み込まれていった。


 光はあっという間に消え、そこにはドラゴン姿のミルと、倒れているバルカス、半分開きっぱなしの境界、立っているビンセントとカミラがそこにいた。


 ミルは姿を人間にして血を吐くバルカスにしがみついた。

ビンセントはすぐさまミーちゃんに再びバルカスの体内のカースドロムを食わせよとしたが、ミーちゃんはミルの能力により消滅しており、ミーちゃんを召喚しなおした。


「サモン ミーちゃん。バルカスのカースドロムを残らず殺し食ってくれ」

「ヒィウ! 」


 ミーちゃんは再びバルカスに入り、再度増殖した髑髏どくろを食い殺した。

カミラは倒れるバルカスに、『力』を利用した回復魔法をかけて体を癒した。

更にはミルもバルカスに回復魔法を使い、カミラも更に回復魔法を使った。


 カミラの一回の回復魔法でバルカスの体は全快していたが、続けてオーバー回復をした結果、バルカスの体は正常から超え、二週間程の間、魔法をかけずとも回復し続ける体となった。

しかし精神的な疲労とダメージは回復されておらず、バルカスは倒れた体勢のまま眠ってしまっていた。

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