ずっと見守ってるよ……

 高校時代の話だ。


 ある土曜日の朝、胸に槍が刺さるような衝撃があった。

 それはたった一通のLINE。


『クラスのY君、死んだんだって』


 慌ててテレビを見てみるとニュースになっていた。交通事故だった。

 大して話もしたことないような男子だったが亡くなると流石にショックを受ける。

 バイト先で副担任から電話があった。

 今にも泣きそうな、崩れてしまいそうな声で月曜日の日程を伝える。

『……ちゃんと飯食ったか?』

 気遣う言葉が苦しそうで、何も返せなかった。

(こっちのセリフだ……)


 長かったがここからが本題の心霊体験。


 実は彼と一緒に友人の彼氏が亡くなった。

 もうその友人は後を追うことしか考えられなくて、慰めてもLINEでもずっと『彼氏返して』と悲痛な叫びを綴っていたほど。


 月曜日の朝、いつものようにスクールバスに乗り、いつもとは違う憂鬱な気分で外を眺めていた。

 しばらく市内を回って、その友人が乗るバス停に止まった。

 友人が鞄にしがみついて乗車する。

 何かが変だ、と感じた。

 嫌なものじゃなくて、むしろ

 守るように友人を包んでいた。

 は一日中友人のそばにいて、離れることは無かった。

 放課後に友人にそれとなく尋ねようと思ったが話せる状態ではなく、聞くことが出来たのは一週間後だった。

 もちろん、彼女はその正体は分からないと言った。だが、いいヒントはもらえた。

「彼氏が亡くなった次の日の夜さ、夢を見たのね。彼氏から電話かかってきてさ。

『どこにいるの?会いたいよ』って言ったらさ、

『山登らねぇといけねーから、会えねぇ』って言っててね。

 でもどうしても会いたかったの。何度もせがんだんだけど、駄目って言っててさ。

 でも、『ずっと見守ってるから』って言ってたんだよ」

 そう話している間にも友人は涙をポロポロとこぼしていた。

 泣いている側で慰めもせず、一人納得していたのは申し訳ないが、あれはきっとその彼氏だったのだろう。

「通夜の帰りに歩道を少しでもはみ出すと引き戻される」とも言っていた。

 本当に約束を果たそうとしていたのか。


『ずっと見守ってる……』


 卒業した今でも、会うと時々居るように感じる。ならそばに居るのだろう。

 愛するということ、悪くはないと思った。

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