【グルメ小説】アルティメットカップヌードルを食す

ちびまるフォイ

おいしければどうでもいい。

「なん……だと……!?」


ふとコンビニに行ってみるとアルティメットカップヌードルを見つけた。

都市伝説だと思っていたのに実在していたなんて。


「いまだかつてないほど最高においしい料理をあなたに……!

 なんてそそられる注意書きなんだ!」


迷わずレジにアルティメットヌードルを持って精算。

コンビニでお湯をそそごうとふたに手をかけたところでとまった。


「なんだ? フタになんか書いてある」



【注意】

アルティメットカップヌードルは

普通のインスタントではありません。


最高の食事を提供するために、

調理方法を順守して正しい方法で作ってください。


調理法を守らないと爆発します。




「爆発すんの!?」


慌ててポットにかけていた手を放した。

カップ側面にかかれている調理法を読んでみることに。


①野菜を大きめにカット

キャベツ、にんじん、たまねぎ


「な、なんだこれ……?」


よくわからないがカップ麺の調理法に書いてある方法を守るしかない。

単にお湯を入れて3分、というわけにいかないからこそ

最高においしいアルティメットカップヌードルが食べられるのだ。


野菜を買って、家で刻んで1つめの項目はクリア。


「次はお湯にコンソメを入れて……すごいめんどうだなぁ」


とはいえ従うしかない。

これも最高のひとくちのためだ。


その後もレンジで肉を温めたり、食材をゆでたり、煮込んだり。


普通のカップラーメンではさじを投げたくなるような調理過程の数々をこなし

ついに最終段階までたどりついた。



⑳お湯をそそいで3分待つ



お湯をそそいで待つこと3分。

人生でこんなにも3分を長く感じたことはなかった。


3分が経過するとアルティメットヌードルのふたからいいにおいが漏れてくる。


「おお、ついに……!」


ごくり。

生唾を飲み込んだ。


ゆっくりフタをはがすと通常のカップ麺より量が少なめの

アルティメットカップヌードルが完成した。


見た目は普通のと変わらないが、その味は……。


緊張の箸さばきでゆっくりと口に運んだ。


「うっ……!!」




「うまくもない!!!」


普通だった。


どこにでもあるカップ麺と変わらない味だった。

あれだけの手間をやっておいて、味は普通だった。


「だ、だまされた……」


必死に野菜刻んだりしたのはなんだったのか。

最後まで食べつくすと答えが出た。


容器のそこに最後の注意書きがかかれていた。




【完成】

あなたが調理過程にそって作った

ビーフシチューがそろそろ完成します。




完成したビーフシチューは、

いまだかつてないほど最高においしい料理だった。


そっちかよ!!!

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