意外な場所に意外な人

「ふん、お前らみたいなガキが何でこんな所にいるのかと思えば

ゴミ拾いの依頼でも受けたのかぁ

そーだよなぁ、ガキにこの辺りの魔獣は強すぎるもんなぁ~

ははは!せーぜー、俺達みたいな強い冒険者が倒して

放置してるゴミ拾いで、稼ぐんだな!」


言いたい事を言い終えたらしい男達は

ギャハハ…と笑いながら、先へと進んで行った


「…何で言い返さねぇんだよ」

「キョウヤも言い返さなかっただろ?」

「はぁ?あんなのに言い返してたら、キリねぇじゃん」

「僕もそう思うよ…だいたい言い返したら、メンドクサそうだし

次、早くタンクを見つけて倒したいのに

余計な時間がかかるのは嫌だからね」


2人とも、あの3人組に絡むのは時間の無駄だ…

としか思っていなかったらしい


「だいたい…人の実力知らない癖に俺達強い…

みたいな感じで言う人、ロクな事無いから」


コッコは誰か他の人が倒し、自分達が落ちてる物を拾ってる…

という解釈をしたあの3人

相手の事を知らないのに、色々言う人というのは

だいたいロクな人ではないし、面倒な事を引き起こす事が多いのだ

今までのユウキの経験上

無駄に関わって巻き込まれるのは避けたい所


「よし、全部拾えたかな…?」

「あぁ、こんなもんだろ」


=獲得物(ユウキ)=

コッコの核:23個

魔石:42個

ターゴ:50個

コッコの肉:47個

羽:49個

お金:5000セレス


=獲得物(キョウヤ)=

コッコの核:13個

魔石:20個

ターゴ:25個

コッコの肉:20個

羽:24個

お金:3000セレス


「…何か、一番ターゴがドロップ率良くない?」

「そうだな、一番多いし…ほとんどの奴が落としてたし…」

「なのに使い道無いとか…勿体ないにも程があるね」

「だな、何で使い道考えないんだろ…」


ドロップ品をインベントリにしまい

そんな会話をしていると…


「あ!ユウキ君とキョウヤ君!」

「「??」」


いきなり、声をかけられ、2人はキョロキョロと辺りを見回す

すると、少し離れた所に一人の女性が手を振っていた


「あれ?ディアナさん…?

何でこんな所に…」


ユウキがそんな事を呟いている間に

ディアナはこちらに向かって走って来る


「あ、走ったら…」


ビタンッ!!


「…やっぱりね…」

「まぁ、気持ちは分かる…」


2人が思った通り、ディアナは転んだ

何に足を取られたのかは、全く分からないが

彼女の称号故…という事にしておこう


「大丈夫かな?」


そう言って、ユウキが手を差し出すと、何とかそれを掴み

立ち上がる


「え…えぇ…何とか…」

「そんなにドジなのに、こんな所に一人でいて大丈夫なのか?」

「うっ…一人じゃないですよ!

ちゃーんと護衛を依頼してますから!」


そう言ってディアナが指さす先を見ると

確かに冒険者らしい4人組のパーティがいた


「って…何であんなに離れてるの?」

「それはですねぇ…ココで良いネタが無いか探してるんですけど

こうやって、何も出来ない風の人が1人でいる方が

ネタが転がり込みやすいんですよ!」

「…まぁ、そうだな…」


キョウヤの脳裏に、あの3人組が浮かび上がる

自分より弱い者を見つけた時

一番人の本性という物が出やすいのだろう


「基本的に、色々な人が何か成し遂げたら

情報誌の所に言いに行くのに、わざわざネタ探し歩く意味あるの??」

「ふふん、ユウキ君、こちらも言われた事だけを書いてるわけでは無いのですよ!

この間の金塊みたいに、自分から探しに行くのも普通です!

だいたいですね、良い所だけを取り上げていても、情報誌としてダメなんですよ

良い所も悪い所も載せないと意味が無いんです!

でも、悪い所なんて自分から言いに来る人は勿論いませんし

なので、こうやって出歩いて探すんです

勿論良い事があれば、それはそれで記事に出来ますからね」

「へぇ~…なんか、凄いね」

「だけど、んな事してたら、悪い事書かれた奴ら

何か言って来るんじゃねぇの?」


キョウヤの言葉に、確かに…とユウキも賛同する

悪い事を書かれた側はその広まりを、何としてでも止めたいだろう

それこそ、暴力や権力…いろんな力を使ってでも…


「なので、建物の中には、ギルドの方が常駐しています

書かれた記事に関して、違う事があれば全然言いに来て頂いて構わないんですが

こちらも、その方の言い分が本当かを確認するために

そのギルドの方が持っている、過去を見る事が出来る水晶

通称、真実の水晶…を使います」

「スゲー!過去が見えるのか?!」

「え…えぇ…そうでないと、こちらも嘘を書いている

と、言いふらされたら、信用問題ですからね

そこは、キチンとしておかないと

ちなみに、真実の水晶をギルドの方が持っているのは

中立の方が見ますよ…という事ですね」

「へぇ~、でも、いきなり暴れだしたら、どうするのさ?」

「あぁ、それでしたら、憲兵の方に転送魔法でシュッと来ていただいて

捕まえてもらいますね」

「一瞬で出動だな…」

「まぁ、転送魔法だからな…」


まぁ、何はともあれ

ディアナの説明で、とりあえず、安全は確保されている

という事は分かった

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