ドロップ品事情

「とりあえず、ご飯と野菜スープにしてみたけど…

これくらいで大丈夫…?」

「うん、僕は大丈夫~…問題はキョウヤ…かな

まぁでも、ご飯があるなら、大丈夫だろ…」


ミナミが朝食の支度を終えると、ユウキは立ち上がり

朝と夕方のイベントに向かう…

キョウヤを起こすという名のイベントである


「風魔法発動」

「うぎゃ?!」

「オハヨー」

「お…ぉぅ…はよ…」

「ミナミが朝食作ってくれたから、早く来なよ」

「あぁ、準備する」

(キョウヤって…まだキャラ安定してないのか?

もしかして…魂が回復するまで、不安定だったりして…メンドクサ…)


キョウヤの部屋を出て、元の部屋に戻れば

ミナミが出来た食事を取り分けていた


「…個人的には、朝食には卵だなぁ…」

「確かに、朝食にゆで卵とか目玉焼きって定番って感じだよね」

「この世界の卵料理事情ってどんな感じなの?」

「えっとね…コッコが落とす卵は、今の所利用されてなくて…

ドロップしても、回収しないのが普通なんだよね…」

「はぁ!!?勿体ない!!」

「アハハ…そう…なんだけどね

この世界の人からすると、使えない物を拾ったらバッグ圧迫するだけだから

いらない物は拾わないのが普通なんだよ」

「マジか…でもさ、拾われなかったアイテムはどうなるんだ?」


ユウキの脳内では、永遠に草原的な所に卵が放置されてる…

というようなイメージがなされている

普通に考えれば、拾われない…という事はそこにあり続ける…

という事なのだから


「えっとね、魔獣からドロップしたアイテムは、一定期間放置されると

魔力に戻って飛散するんだよ」

「へぇ~…

(まぁ確かに…錬成とかで魔力から作る物あるもんな…最終魔力に戻るのも

分からんでは無いよな…)」

「朝から、何の話してんだ?」


そこへ、準備を終えたキョウヤがやって来た

沢山寝たのにも関わらず、眠いらしく欠伸を一つ


(あんだけ寝て眠いのか…)

「えっとね、卵の話から、ドロップ品が放置されたらどうなるか…

って話をしてたんだよ!」

「へぇ~…卵かぁ…卵があれば料理の幅が広がるよな…

ゆで卵、目玉焼き、玉子焼き…煮卵、玉子スープ」

「スイーツ作るにも必要な食材でもあるし~」

「とりあえず、今日はその辺を採集しに行くぞ」

「よし、そうしよう」

「コッコ討伐のクエはギルドに出てるだろうし…

多分、卵の採集クエは無いと思うけど…」

「まぁ、無くても、卵は僕らが使うから問題ないよ」


そんな会話をしながら、食事が進んでく

食事を終えると、ユウキとキョウヤはギルドへ向かう

ミナミは、パソコンを使って、今ある食材で他の料理が出来ないか

というのを探すらしい

レシピが増える…という事は、お店のメニューが増える…という事

ミナミには必要な情報収集である


「コッコって、どの辺に生息してんだ?」

「さぁねぇ?でも、この辺にもいるってミナミも言ってたし…」

「まぁ、鶏だもんな…そんなに強くはねぇだろ」

「…さぁ?その辺は分からんけど…(もしかしたら、デカイかもしれないし)」


ユウキの脳裏に、ゲームとかで出て来る超デカイ蟻がよぎる

向こうの世界では小さい蟻だが

ゲームの中では、人よりデカイ事がある


(まぁ…そうじゃないかもしれないし…)


そんなこんなでギルドに到着

やはり、朝早いこの時間は人がほとんどいない


「この時間って、いっつも人すくねぇよな…」

「まぁ、この世界の人が活動しだす時間の少し前だしねぇ」

「でも、依頼とかは、滅茶苦茶あるじゃん」


掲示板には所狭しと、依頼が貼り付けられている


「確かに…夜には依頼減ってるもんな…」


依頼は夜になるにつれ、減っていく

まぁ、それは当然なのだが…

いつ依頼が増えているのかが、謎だった


「ちょっとおチビちゃん達、まだ依頼が決まってないなら

少し横にズレてくれないかい?」

「!?…あ…はい…」


いかにも食堂のような所で、働いてそうなオバちゃんが

2人の後ろにいて、手に何か持っていた

多分、依頼なのだろう…確かに掲示板の目の前にいたから

貼り付けようとしているなら、邪魔をしてしまっている

ユウキは慌てて、キョウヤの手を引いて少し横にズレた


「…俺はチビじゃねぇ…」

「まぁまぁ…」


ボソッと言ったキョウヤを何とか宥める

別に悪意があったわけじゃない…

多分、名前も知らない2人を分かりやすく呼んだら

そうなってしまっただけだろう


「(あ…この人に聞けば分かるかも…)

ねぇねぇ、依頼貼り付けるのって、これくらいの時間なの?」

「ん?…あぁ、いつもはもう少し早いねぇ

何せ、冒険者の人達が動き出す前に貼り付けておかないと

引き受けてもらえないだろう?

まぁ、必要になれば随時受け付けてるから、昼からとかでも

貼り付ける人は普通にいるけどねぇ?

でも、これくらいの時間が一番良い時間なのさ」

「へぇ~、そうなんだね

(なるほど…それなら納得だな)」


説明を終えたオバちゃんは、用事を済ませギルドを出て行った

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