魔力の濃度

「おぉ!魔獣じゃないのが釣れた!」


次に釣れたのは、金魚みたいな魚だった

金魚みたい…なので、とても小さく食べる所は、かなり少ないだろう

というか、これは子どもの魚ではないだろうか

向こうの世界でなら、間違いなくリリースされるのではないだろうか


(いや、もしかしたら、いかなごみたいに…小さい魚でも食べるやつかもしれない…)

「お~…釣れたけど…お前、そのサイズは流石に食えねぇよ」

「だよね、小さいよね…」

「それは、戻すぞ。大きくなれば、さっき釣ったタタイと同じくらいまで大きくなるさ」

「えぇ…こんな小さいのがあのサイズに?」

「なる…っつーか、それタタイだし」

「…マジか…(確かに、色合い似てるけど…あのタタイの子だったんだね)」


そんな会話をしながら、ユウキはタタイの子どもをポイッと川へと放り込んだ

チャポンという音がして、すぐに魚は深くへ潜り、見えなくなった


「子どもサイズが釣れたって事は、上手く魔力薄められたみたいだな」

「うん…けど、あんな小さいのばっか釣れてもなぁ…」

「それじゃあ、魔力の濃度を上げれば良いだろ

1滴のイメージを2滴くらいにさ」

「…そ、そんな1滴レベルで調整すんのか…」


あまりにも細かな調整に、ユウキはため息をついた

でも、魔獣ばかり釣れても困る

魚を釣るための釣りなのだから


「だって、お前普通じゃないからな…

1滴のイメージで子どもが釣れたんなら、2滴で大人サイズになりそうだけど…」

「うぅ…とりあえず…2滴くらいのイメージで…

(そういえば、2滴とかって…MP的には減るのかな…)」


というわけで、MPの数値を見て

2滴をイメージして、餌を作る


「…2滴ってMP消費されないんだな…」

「普通の人でも、餌3・4回くらいで1消費される感じだな

まぁ、魔力の純度が低い奴は、1回で1消費もあるだろうけど…

お前の場合…20回で1消費するかしないか…じゃないか?」

「…な、なるほど…」


軽く普通の人の9倍近くと言われた

まぁ、純度がオカシイくらい高いので、その結果も仕方ないだろう


(そーゆうの、親に教えてもらいそーなもんだけどなぁ…)

「はぁ…薄めなきゃいけないって…面倒だなぁ…」

「まぁ、良い魔力コントロールの練習だとでも思って頑張る事だな」

「はぁ~い…(面倒だけど、仕方ないか…魚釣りたいし…)」


渋々返事を返しながら、川の中へと餌を入れる


(今度は、普通サイズの魚が良いなぁ…)


そんな希望を願っている横で、アレンが20cm程の魚を釣り上げた


「(サバみたいな見た目…)それは、何て魚?」

「ん?これはバサバ…この辺でよく釣れる魚の1つさ」

「へぇ…このサイズくらいを釣りたいな…」

「次でも、小さいのが釣れたら、もうちょい魔力を濃くすればいいだろ」

「まぁ…ねぇ…」


そんな話をしていると、ユウキの方にも反応があった


「よーし、今度こそ!」


気合を入れているが、気合でサイズが決まるわけでは無いので

入れ損ではあるが…


「やったー!普通サイズ釣れたぁぁ~~!」


気合とか関係なく、普通サイズの魚を釣り上げた


「釣れたな、これはユアだな」

「(鮎と同じ…だな…タイ、サバ、アユ…向こうじゃ絶対共存してねぇな…)

よーし、この調子で釣るぞ!」

「どんだけ釣るんだよ…釣りで生計立てるのか?」

「いや、料理に使ってもらう!」

「…どんだけ魚料理作ってもらうんだよ…」

「まぁ、余れば売れば良いし!」

「それもそーだな」


と、いうわけで、釣りはまだまだ続き

日が暮れるまで、たっぷり釣りを楽しんだのだった


「あ!体力草とか採集してない!!」

「お前…どんだけ採集して稼ぐ気だ?」

「いや、体力草とかは僕が使うんだよ」

「あぁ…回復に使えるもんな

でも、普通にポーション買った方が良いと思うが…」

「そーじゃなくて、ポーション自作すんの」

「お前、普通そんな事しねぇ…って

コイツは普通じゃなかった…」


普通を唱えたが、ユウキ相手だった事を思い出し、アレンは頭を抱えた


「でも、今の時間から採集しに行っても

夜だから魔獣が活発になるし…お前には関係無いかもしれんが…」

「ん~…まぁ、確かに夜無理に活動しても良い事ないし

今日は帰る事にするか…夕飯食べないとだし」

(夕飯大事なんだな…)


と、いうわけで、帰るという事で満場一致となった…2人しかいないが…

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