この後の予定

「この後、ユウキちゃんはどうするの?」


あの後、テーブルで息絶えたキョウヤを風魔法でベッドまで運び寝かせた

起こすつもりは無いので、静かにベッドの上に寝かせたため

起きる気配は微塵もなかった


(これ、普通に落としても今なら起きないんじゃ…)


そんな事が一瞬頭をよぎったが、それを実行はしなかった

とにもかくにも、無事にキョウヤをベッドに送り届けてきたユウキに

ミナミは先程の言葉をかけたのだ


「ん?どーするって…?」

「キョウヤ君は寝てるでしょ?」

「そうだな」

「私は、MPも回復したし、もう少しメイキングで部屋整えようって思ってるんだ

それで、その後は少しゆっくりしたいかな」

「なるほど…」


つまり、キョウヤもミナミも休憩する…という事だ

ユウキと違い、初日から長時間走り回ったり、バトルしたりしない…

という事だ

まぁ、元々ミナミはバトルする予定は無いが…


「んじゃあ、僕は…どうしようか…

(キョウヤが寝てる間にクエストで討伐系したら怒るだろうなぁ…)

ん~…生産しようにも、体力草も精神草もほとんど無いしなぁ…」

「…ちょっと待って、ユウキちゃん」

「???」


ユウキの発言にミナミがピクリと反応し、すぐさま声をかける


「ユウキちゃん…戦闘職なんだよね…?

何で生産…?いや、あり得なくはないけど…」


今日のバトルでは、かなりの余裕が見られた

あれで生産職なんて言われたら、ミナミの中の常識が一瞬にして砕け散ってしまう


「いや…僕、ジョブ決めてないけど?」

「…ぇ…?」

「いや、僕、フリーなんだよ」

「う…うそ…」

「いや、ホントホント」


ミナミは信じられないものを見るかのような目で、ユウキを見る


「普通は、ジョブ決めてないと、スキル獲得しにくいし…」

「僕、自称神様からの加護で、何にでもなれるし

スキルもすぐ習得して、レベルも上がるんだよね」

「そ、そんなのアリ!!?」

「ん~、自称神様がOKって事にしてるからOKなんじゃない?」

「…いや、オカシイよ!」

「と、言われてもなぁ…」


確かに、かなりの優遇だが…

ユウキに文句を言われても困るのだ

ユウキが頼んだわけでも無いのだから


「…あれ?でも…それって違う世界から来た人にはついてるんだよね?」

「多分な…キョウヤにも同じのついてたし…

まぁ、他の人の事までは分からないけど…

こっちの世界ですぐに死なない対策みたいなものらしいし」

「でも、上手く使えない人もいるし…死んでしまった人がいる…」

「まぁ、うん…そうだね

キョウヤとか、攻撃力全く活かせてないし」

「…つまりさ…加護をつけて、ココの人と同じ感じに普通なるって事だよね?」

「…そ、そうじゃないかな…」


『普通』を強調するミナミに、ユウキは目を逸らしながら、答える

まぁ、ユウキに聞いた所で、所詮予想でしかないのだけれど


「なのに、ユウキちゃんは普通より遥か上になってるよね?」

「ま、まぁ…うん…そうだな…」

「なるほどねぇ…だから、ジョブで戦闘職選んでなくても強いし

加護のお蔭で、戦闘スキルから生産スキルまで幅広く使いこなせるんだね」

「うん、そんな感じ」

「普通は、どっちも両立って難しいと思うけどなぁ」


何気なく呟いたミナミの言葉が、グサリとユウキに刺さる


「べ、別に良いだろ…僕は、出来る事は色々やってみたいんだよ」

「別に良いけどね…その方が、何かあった時に、色々対処出来るし

ただ、純粋に羨ましいわ…

あ、でも、私戦闘職は無理だから、やっぱり良いわ」

(確かに、ミナミって戦闘職似合わねぇもんな…

で、結局、僕はこの後何しようか…)


結局戻って来たところは、最初と同じ所だった

この後、自分が何をしようか…という事が全く決まっていない


「ん~…生産に使う体力草とか…精神草探しに行くか…」


バトルをしなければレベルは上がらないので

キョウヤからの文句は無いだろう

まぁ、スキルレベルは上がるが…その辺は気にしない方向で


「あ!じゃあ、ユウキちゃん、お魚…採って来てよ!」

「おぉ!魚がいるのか!?ってか、この世界でも魚は魚なのか?」

「うん、魚の名前は、こっちの世界の名前だけど、総称は魚だよ」

「そうなんだ、じゃあ、何処に行けば釣れる?」

「えっとねぇ~」


ミナミはマップを開き


「ココだよ、この世界だと、淡水魚とか海水魚っていう区別は無いから

タイと金魚が同じ所で釣れるよ!」

「マジかよ…共存していい奴らなのか…?」


やはり違和感があるのか、微妙な表情をするユウキ

でも、ある程度想定範囲内なのか、そこまで驚く様子はなかった

野菜であれだけ予想外の事が起こったのだ

淡水魚と海水魚の共存は、違和感はあるが想定外…とまではいかないのだろう


「んじゃ、魚ゲットついでに、何か新しい植物無いか調べるのと…

ついでに、新しい魔獣いたら倒してくるか…」


ミナミに教えてもらった所は、まだ行った事が無い所だったので

新しい物に出会えるのではないかと、ワクワクしていた

そのため、頭の中から、魔獣と戦うとレベルアップする可能性があり

そうなればキョウヤが怒る…という事はすっかりと抜けてしまっていた

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