ミナミの味覚
「キョウヤ、まだ笑ってるんだったら、先食べるけど?」
「美味しそう!」
「わっ…待て!俺も食べる!!」
食べ始めようとしている2人に慌てて準備をするキョウヤ
「いただきまーす!」
「いただきます」
「…いただきます…」
上からミナミ、ユウキ、キョウヤ…と
三者三様に挨拶をして食べ始める
「う~ん!美味しい♪」
「あれ?ミナミ…この味で満足できるの?」
大満足…というミナミの反応にユウキが首を傾げる
向こうの世界で、普通にスイーツとかを作る人が
簡単な味付けしかしていないこの料理でそこまで満足できるものか…
ユウキは疑問だった
「うん!美味しいよね!」
ユウキの問いにミナミは笑顔で答える
その笑顔に嘘、偽りがあるとは考えにくい
(…体がこっちの世界の物で出来てるから…体の知識として味を知ってるのかな?
だから、この世界の物としては…美味しい…っていう感じなのかな…?
それか…死んでたから、久し振りのご飯がただ美味しいだけか…
…って、滅茶苦茶ご飯食べないっていう前提のもとだけど…)
ユウキは、何通りか可能性を考えたが…多分、ミナミ自身も分からないだろう
と、確認する事はせずに、考えるだけにとどめた
「この程度で満足できるのか…すげーな…」
「じゃあ、キョウヤ自分で作れよ…」
「無理、作れねぇ」
「…」
自分で作れない癖に、文句だけを言うキョウヤに比べたら
とても良い事だと思い、ユウキは気にしない事に決めた
「さてと…今日はどうするか…」
朝食を食べ終え、食器を洗いながらユウキは考える
「どうするか…って…どういう事だよ?」
「そのまんまの意味だよ…
ミナミもとりあえず、ギルドには行って登録してる方が良いとは思うんだ
身分証明にもなってくれるギルドカードは便利だし」
「んじゃ、そうすりゃ良いじゃねぇか」
「いや、その後が問題なんだよねぇ~」
ユウキの言う、問題という物が全く見えてこないキョウヤとミナミ
2人は顔を見合わせて首を傾げる
「ミナミは冒険者として活動するつもりはない…
って事は、登録したら、後は街の中を一人で見て回る事になるよな?」
「そうだね~…でも、何の問題も無いと思うけど??」
「あぁ~…女性の一人歩きは危ないかもなぁ~…」
「そうそう、キョウヤの言う通り…慣れてるならまだしも
体に知識はあるけど、初めての場所だし…
それに…ミナミは可愛いから面倒な奴が絡んできそうだし…」
いつぞやのナンパ男がユウキの頭の中をグルグル飛び回る
あんな奴にミナミがナンパされたら…と思うと
ハッキリ言って心配でしかない
(アイツ、無駄にレベルだけは割かし高めだからなぁ…
ミナミのステータスじゃ勝てないし…)
「つーか、俺達が一緒にいれば問題ねぇだろ?」
「…まぁそうだな(キョウヤはともかく、僕が一緒にいれば基本問題ないし)」
そう思っているユウキ自身
妄想少女やナンパ男など…色々な物に巻き込まれているが…
まぁ、ユウキであれば、何とか出来るレベルの物だ
「2人が一緒にいてくれるの?」
「まぁな…初めての世界で女性一人ってのも危ないしな」
(えーっと…ユウキちゃんも女の子なんだけどなぁ…)
「まぁ、キョウヤ一人じゃ心もとないしね」
「はぁ!!?俺でも十分頼りになるだろ!?」
「頼りにはなるだろうけど…十分ではないかな…」
「っ!」
ユウキの一言に返す言葉も無いキョウヤだった
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