キョウヤのツボ

「とりあえず、朝ご飯にしようか…

ミナミは2階にある2部屋の好きな方を使っても良いから

メイキングで家具作ってきなよ」

「え!良いの!?ありがとう!」


お礼を言うと、ミナミは2階へと上がって行った


(キョウヤが『ダメだ!』とか言ったら、各部屋鍵つきにすれば問題ないよね)


そんな事を考えながら朝食の支度をする

メーコを3人分炊きながら


(…アレ?ミナミのMPの最大50だったよな…?

メイキングでコップ2個出したよね…?どれだけMP使ったか分からんけど…

家具全部作れるのかな…?)


ベッドなどの大きい家具は消費MPも多い

ミナミがどれだけMP消費するかは分からないが…


(…ま、この世界の知識はあるだろうし…

大丈夫…だよな…?)


一瞬頭の中に倒れたキョウヤがよぎったが

ミナミなら大丈夫…と、謎の根拠で吹き飛ばした


(そもそも、キョウヤが考えナシなだけだよな)


キョウヤにとって失礼な事を考えているが

普段の行動が行動なので、仕方がない


(えーっと、朝食は…ご飯と…サラダ…卵欲しいなぁ…)


レレナを一枚一枚剥して、葉を適当な大きさに切り

ジンの皮をむき、千切りにして

マートを輪切りにして大きめの皿をメイキングで出し

その中に全部投入して混ぜる

そして、ラビットの肉3つを切って塩を振り、焼く


「よし、これで、朝食はOK」


テーブルの真ん中にサラダを置き

肉は皿に取り分けられ、ご飯はミナミ以外の準備はOKだ


(ミナミ…茶碗作る魔力残してるかな…)


そんな事を考えながら、ユウキは一番の難関

キョウヤを起こしにかかる


「おーい、起きてるか?!」


一応、ノックして声をかける…

もちろん返事は帰ってこない

なので、普通に中に入る

ベッドでは、キョウヤが眠っている

ユウキは迷わず


「風魔法発動」

「うわぁ!!?」

「キョウヤ朝だよ」

「…あぁ…朝か…はぁ…普通に起きてぇ…」

「僕も普通に起きて欲しいけどね」


この2人の願いは、今の所叶いそうに無い

ユウキは、キョウヤの部屋から出ると

ミナミを呼びに二階へ向かおうと、階段を上る


(何気に二階放置だったよな…)


作ったは良いが、使っていなかった二階

作った当初は、作業場にしようと思っていたが

今の所、道具が全部一階の作業場で収まり切っているので

使わずのままだった


「ミナミ?ご飯出来たけど?」

「ご飯!行く行く!ちょっと待って!」


ガチャッと部屋から出てきたミナミ

どうやら、階段近くの部屋を使ったらしい


「どんなご飯か楽しみ~♪」

「まぁ、向こうの世界に比べたら劣ると思うけど…

それより、部屋の方はどう?」

「ん~…とりあえず、ベッドを置いたらMP20消費しちゃって

疲れたから、その他はまだ…」

「今、残りのMPどれくらい?」

「ん~、今、残り20だよ」

「そっか…多分、ご飯食べたら回復するから

疲れてなければ、また作ってみればいいよ」

「あはは、ユウキちゃん、いくらなんでもそれはないよ~

ご飯でMP回復するなんて~」


ココの一般的な知識が全部入っているミナミ

普通の食事ではMPが回復しない…という事も知っていた


「いや、それがさ、僕が作った料理って品質が絶品でさ

HPとMPが100回復する事があるんだよね」

「えぇ!!!?」

「っ?!まぁ、驚くのは分かるけど…

多分、ミナミも作れるんじゃないかな…?」

「どうだろう…私、普通の人より、若干ステータス良いくらいだし…」

(まぁ確かに…でも、多分、料理の経験ならあるだろうし…

美味い…くらいは作れそうだけど…)


そんな会話をしながら一階に降りて来ると

丁度キョウヤが部屋から出てきた所だった


「あ、キョウヤ」

「おぉ…お前…っ?!

そ、その女って…まさか!!?」


ユウキに声をかけられ、そちらを見たキョウヤは

すぐ横にいるミナミに気付いた


「そうそう、この世界に召喚された子だよ」

「女性か…俺達と同じくらいの年じゃねぇかと勝手に思ってたから、違和感だな…」

「君がキョウヤ君だね!私はミナミ、よろしくね!」

「お…おぅ…」


ミナミの屈託ない笑顔に、キョウヤはフイッと目を逸らす


「んじゃ、ご飯にしよっか

ミナミ、茶碗と箸くらい出せそう?無理なら僕が出すけど?」

「ん~じゃあ、ユウキちゃんにお願いしようかなぁ~

今魔力使ったらダメな気がする~」

「ぶっ!!…お、おま…『ちゃん』…って」


『ユウキちゃん』と呼ばれている事がツボだったらしく

キョウヤは笑い続ける

一方、ユウキは予想済みだったらしく

気にせずにミナミに茶碗と箸のデザインを聞く


「えっと、ユウキちゃんの色違い…赤で良いよ

てか、メッチャ笑ってるけど…ほっといて良いの?」

「良いの良いの、好きなだけ笑わせておけば」

「あははははっ!『ちゃん』って…っ…確かに…

お前、女子からすれば可愛い部類かっ…あははは!

あ~、可哀想になぁ~…男に見られてねぇなんてっ」

(ホントに、キョウヤ君、ユウキちゃんの事男の子だって思ってる?!)

「はい、ミナミこの茶碗と箸使って」


笑っているキョウヤを放置して、ユウキはさっさと準備を進める

ミナミの茶碗にご飯をよそい、準備は完了だ

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