ピーマ

「さて、早い所、ピーマ採集していこうぜ」


目的地付近で、キョウヤは言った

しかし、肝心のピーマらしき植物が見当たらない

いや、青々とした緑は沢山あるわけなのだが

2人の想像しているピーマという野菜…というか実が見当たらない


「…場所はココで合ってるよな?」

「うん、間違いないよ」


不安になったキョウヤはユウキに聞く

ユウキはマップで検索をかけて、位置情報を確認して、返答する

ココで間違いがないのなら、ピーマは一体何処にあるのか…


(…まさか、葉っぱ…とか…?鑑定)


◇ピーマの葉◇

ピーマのなっている植物の葉

特に今の所、使い道などは無い


(…やっぱり普通の葉っぱなんだな…、じゃあ、何処にピーマが…)


一体何処に目的のピーマの実があるのか…そんな事を考えながら

ピーマの葉から伸びる茎に手を伸ばし、クィッと軽く引っ張ると…

思いのほか、アッサリと抜けてしまった


「ちょ、根っこよわ!!?」

「…てか、根っこじゃねぇ!?実がなってるぞ!!?」


キョウヤに言われ、慌てて根っこを見ると、1本の茎の下に10個ほどの実が連なっていた

例えて言うなら、さつまいも…と言って差し支えない感じである

つまり、地面の中から、さつまいもに成り代わって、ピーマンが出てきたのだ

2人からすると、多いに違和感だらけだが…異世界だから仕方ない


「…とりあえず、サツマイモのポジションがピーマなんだな」

「そう…だな…」


なかなか納得できないが…こちらが納得できるかは求められていない

ココではこれが普通なのだ、受け入れる他に方法はない


「…あれ?」

「ん?」


ユウキは、地面から掘り起こしたばかりのピーマを見て違和感を覚える

何が違和感なのかすぐには分からず、ジーッとピーマを見つめる

ピーマはツヤツヤと輝いていて、新鮮そのものなのだが…


「あ…コレ…」

「何だよ?何か変な所あったのか?」


キョウヤは違和感を感じていないらしい

そんなキョウヤにも分かりやすいように、ユウキは説明を始める


「よく考えてみろよ…コレ、今掘ったばっかりだぜ?」

「そうだな、お前がうっかり引っこ抜いたな」

「まぁ、その辺は結果オーライ問題ないだろ

僕が違和感感じたのは、コレが地面から出てきたのに、土がついてねぇって事だ」

「…!!?」


バッとピーマを見るキョウヤ

確かに、ユウキの言う通り、土は一つもついていなく

ツヤツヤと輝いて、とても美味しそうである

そう、土の中から出てきたとは思えないほどに…


「…え?これ、誰かが地面に埋めて隠してたのか?」

「…それなら、採集場所として表示されないと思うんだけど…」

「…地下に水が流れてて、そこで綺麗になったとか…?」

「それなら、余計に出てくる時に土がくっつきやすくなって、汚れそうだけど…」

「…あぁぁ!!!じゃあ、どーしてだってんだよ!!?」


思いつく限りの事を言ったが、全部ユウキに冷静に返されてしまった

他に思いつく事は無かったのか、ユウキに聞き返すキョウヤ


「予測だけど、魔力が関係してるんじゃないかな…?

魔力が溜まれば幻覚などの魔法だって自然に発生するんだ

実が出来た時に魔力が防護壁として守ってるんじゃないかな?

実の周りに、少し魔力の痕跡があるし…」


ピーマをペタペタ触りながら予測を言うユウキ

ユウキと同じようにキョウヤもピーマに触れるが

イマイチ、痕跡が分からず、首を傾げるしかなかった

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