目標

「で、お前は何処に寄ろうとしてんだ?」

「勿論、道具屋!

 木工関係の道具揃えないと!

 それで、鉛筆とノートの生産だな!」

「…ったく、マジで生産好きだよな…

 なら、生産だけに集中すりゃいいのに…」

「え?だってこんなネトゲーみたいな要素たっぷりなのに

 生産だけに集中するなんて、あり得ねぇだろ!」


キョウヤの呟いた一言に、ユウキは嬉しそうに答えた

それはまぁ、ゲーム大好きなユウキならではの答えだった

答えている時の目は、とてもキラキラしていた

キョウヤは『誰だよ、コイツに好奇心旺盛なんてつけたやつは…』

と、心の中で神様に文句を言うのだった


「それに、僕にはレベル20を目指すっていう目標があるんだからな!」

「へぇ~…何でレベル20目指してんだ…?」

「新しい魔法を作るんだ!

 そのためには、レベルを20に上げないと、魔力が足りないんだよねぇ~」

「うわぁ…ホント、何処目指してんの…?」

「ん~…自由で快適なスローライフ?」

「全然スローじゃねぇよ」


ユウキの目指す物に、ツッコミしか思い浮かばないキョウヤだった

確かに、職業やらスキルやら自由に出来る

実際は、見た目も割と自由なのだが…女の子なのに、男の子で通っている辺り…

そして、メイキングやら自作やらで、結構快適な家環境になっている

だがしかし、スローではない!

色々生産したり、討伐やら採集の依頼を受けてたり…で

結構忙しい生活だと思われる


「ま、良いじゃん

 お、着いた着いた!」


そんな会話をしている間に、道具屋に着いていた

ユウキは目的であった、木工職人セットを5000セレスで買い

ウキウキとスキップをしながら店から出てきた

店の前で待っていたキョウヤは、それを見て若干呆れたとか…


「んじゃ、これで真っ直ぐ家に帰るぞ」

「おぉ…ふぁ~…俺はもうひと眠りだなぁ…」

「キョウヤ、お前寝過ぎじゃね?

 僕が冒険していた4時間くらい寝てただろ?」

「だってよ…ココに来てから、異様に眠いんだよ

 多分、お前みたいにお気楽でソッコーでこの世界に順応できねぇんだよ」

「あぁ、そうだね」

「おい!!!」


否定して欲しかった事を、アッサリ肯定されてしまったキョウヤ

そんな会話をしながら、家に向かって歩き出す


「つーか、真面目な話、何でお前はそんなに新しい世界に順応できんだよ…」

「まぁ、僕の場合、向こうでゲームとかよくやってたから

 仕様とか、結構似てるところもあったから

 ゲーム感覚なのかもしれないねぇ~」

「現実だけどな!」

「そうそう、ゲーム世界が現実になったんだよねぇ~

 だから、特に困る事も無かったかなぁ」


もちろん、常識は無くて困っているが…

衣食住…生きていく上での必要な事には、特に困っていない


「あ、夕飯食べたかったら、自分で作るか、僕を連れて来るかしなよね

 僕、自慢じゃないけど、絶対時を忘れるからね」

「マジかよ…そん時は呼ぶわ」


自分で料理するつもりは、毛頭ないらしい

よく考えれば、生産か活動にまったく興味を持たないのだ

そりゃ、料理だって作る工程に興味が無いのだろう

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