仕事を全うできるのか!?(目覚まし時計)

「っていうか…この音…いつになれば止まるんだよ…」

「ん~、キョウヤが起きてスイッチ切ればいいだけなんだけど…」


そう言って、ユウキはキョウヤの部屋のドアを見る

起きる気配が無いのか、目覚ましの音は一向に収まる気配がない

ユウキ自身は我慢出来そうだが、目覚ましが初めてという2人は

本当に迷惑そうな顔をしている

まぁ、目覚まし初体験な2人に音量が通常の2倍設定は

考えてみると、かなり過酷なような気もする


(仕方ない…止めてくるか…)


と思い、キョウヤの部屋の前に立つも

この扉の向こうは大音量に支配されていると思うと

なかなか、開ける気になれない

自分で設定しておいて何だが…音量的に言うと滅茶苦茶うるさい

ココでもそう思うのだから、この先はどんな音量なのか…

想像するだけでも嫌になる…


(こんな音量の中寝るとか、どういう神経なんだよ!)


ユウキは、起きないキョウヤに内心文句を言いつつ、覚悟を決める

これ以上、勝手に連れてきたお客さんに迷惑をかけるわけにはいかない

ユウキは意を決して中に入る

中は想像以上の大音量が支配していた

この騒音と呼んでも誰も文句を言わない中でスヤスヤ寝ているキョウヤ


(キョウヤの耳には耳栓でもしてあるのか…?)


そうユウキが疑うのも無理はない状況

何とか目覚ましに辿り着き、音を止めると、ユウキは耳栓が無いか確認する

まぁ、勿論無かったわけだが…


「ったく…どんな神経してんだよ…

 おい、起きろキョウヤ…ギルドに報告に行くぞ」

「んぅ…」


キョウヤが身じろぎした事で、ユウキは半歩後ろに下がる

今朝のように引きずり込まれる事を避けるためだ

キョウヤは薄っすら目を開けて、ユウキの方を見る


「(やっとお目覚めか…ってか、目覚まし効果無いのに、人の声で起きるとか…)

 起きたか?起きたら体起こさないと二度寝するぞ」


今までの経験論をキョウヤに言うが、キョウヤはあまり反応しない

まぁ、寝起きというのはだいたいそういうものだ

なので、ユウキは気にせず続ける


「目ぇ覚めないなら、顔でも洗いなよ」

「ユウキ…」

「ん?」


珍しく名前を呼ばれ、キョウヤを見る…

よりも早く、フカフカした物の上に倒れ込む


(ぇ…あれ?…寝起きって、こんなに俊敏に動けるもんだっけ?)


自分がどういう状況になっているのかを、フカフカのベッドの上で確認する

目の前はキョウヤとキョウヤの部屋の天井

両腕はキョウヤの手で固定されていて、動かせる気配はない


(…何で僕この状況!!?)


本日二度目ましての、押し倒され状況だ

しかも、今回は脈絡が何もない

一度目のように、誰かに狙われているなんて事もない

何せ、ここはユウキの自宅なのだから

いや、新たな友人がココを訪れているが

間違っても狙われていない

ユウキの頭は、どうしてこうなったかが分からず、機能は停止しかかっている

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