真意

「ホント…無防備過ぎるよなぁ~…」


視線を彷徨わせるユウキの顎を片手で固定し、ジッと目を見る

勿論、ユウキは視線を逸らす


「ちょ…待て、マジで待て!!!

 キョウヤ起きてんの!!?それとも寝てんの!!!?」


ユウキは近すぎる顔を離そうと、解放された片方の手で、押し返す

もしかしたら、コイツは寝ているかもしれない…

とも思うが、とりあえず、今の状況を何とかしないといけない

これを何とかしないと、先へ進めない…


「おい、どうし…って何やってんだ!!?」


ユウキの声を聞きつけてシーヴァがキョウヤの部屋に入ってきた

入った瞬間、目の前の光景に唖然とする

ユウキ(男の子と認識されている)が

同居人(男の子)に押し倒されている…という状況

何故こうなったのか…この2人の関係性を知らないシーヴァは

ただただ立ち尽くすしか出来なかった


「シーヴァ!ちょ、助けて!」

「え…助けて良いのか…?」

「…ねぇ…あれ、誰?」

「ひゃぅッ?!ちょ…ダメッ…耳元で喋んなッ…ぁッ///」

「(女の子みたいな声が出るんだな…おもしれぇ~)

 まぁ、仕返しはココまでしといてやるよ」


そういうとキョウヤはユウキの上からサッさと退く

解放されたユウキは、何がどういうわけなのかが分からず

とりあえず、体を起こして現状を把握しようとする


「今のは…何に対する仕返しだったんだ?

 (目覚まし時計煩かった…って言うなら

 止めなかったキョウヤが悪いと思うんだけど…)」


ユウキの頭の中では、何に対しての仕返しなのか…

その辺がよく分からず首を傾げる

まぁ、確かに目覚まし時計は若干やり過ぎた感はあるが

それでも、あの大音量が長く続いたのはキョウヤのせいなのだ

煩いと文句をつけるのであれば、もっと早くに止めれば良かっただけなのだから


「今日の朝の仕返しだ

 (俺ばっかりドキドキして不公平だろ…なんて言わねぇけどな)」

「…え?あれって仕返しされるような事か!!?

 (キョウヤが自分で引きずり込んだんだよね!!?

 むしろ僕被害者でしかないんだけど!!?)」


キョウヤの中では、話しが繋がっているが

ユウキの中では全く繋がらない話だったため

ただの理不尽にしか聞こえない

しかし、キョウヤは1~10まで全部説明する気が無いので

残念ながらユウキの中では、中途半端のままに終わってしまうのだった


「ん~?とりあえず、俺達は話に入って大丈夫そうか?」


忘れられていたシーヴァ…の後ろからミーシャも顔を出す

丁度会話の区切りが良い所で、シーヴァが話しかける

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