料理の味とは

「だって、味ねぇんだもん

 自分で作った方が良いだろ」

「素材に味がついてるだろ?

 それを上手く活かせるのが料理人ってやつさ」

「いや、いくら素材に味がついていようが

 限度ってもんがあるだろ…」

「そうかい?そんなに言うなら、ユウキの作るご飯を食べてみたいもんだねぇ」

「んじゃ、今日の夕飯は3人分作るよ

 んで、ココに2人分持ってくる…ってのはどう?」


お肉系はハッキリ言って有り余っている

別に人に御馳走しても問題ない


「おや、それは楽しみだねぇ」

「薬だけじゃなく、ご飯も作れるとは、多才な子どもだなぁ」

(確かに、多才な才能をもらってるけどな…)


時計を見ると19時を指している


「ねぇ、お店って何時まで開けてるの?」

「ココは朝10時~夜20時までだよ」

「んじゃ、20時くらいに持ってくる」


ユウキはそう言って店を出た

後1時間ほどしか時間が無いので、急いで家に帰る

そして、今は簡単な物しか作れないので

ボアの肉を3つ出し、下味に塩をふりかけフライパンで焼く

一瞬、醤油も考えたが、海があればすぐに出来る塩の方が普及させやすいと思い

塩を選んだ


「えーっと、僕の分はフライパンに入れたままで良いや…

 んで、この2人分を皿にのせて…インベントリにしまう…」


手際よく焼いたボアの肉をインベントリにしまい、再びボックスを目指す

ちなみに、ユウキはこの料理に関して鑑定した事が無い

それは、料理だから…という所もあるのだが…

味に驚かれるだろう…という事は予想していたのだが

実は予想とは違う騒動が起こるのは、数十分後の話


「シェイルさん、ラルクさん、持って来たよ!」

「ふふ、楽しみねぇ~」

「あぁ、どんな料理が出てくるのかな?」

「料理自体は、簡単なやつなんだけどね」


誰もお客さんの居ない店内を通り、奥の生活スペースへ案内される

そこには、簡単なテーブルと椅子が置いてあった

何とか頑張れば3人座れるテーブルに椅子を3つ置き席に着く


「さぁ、どうぞ!」


テーブルに置かれたのは、ボアの肉を焼いた物


「おや、よくあるアヤキじゃないか」

「そうだけど、問題は味だよ!」

「そうだねぇ…ユウキは味がどうの…って言ってたし」


そう言って、シェイルはナイフで肉を切ってフォークで口に運ぶ


「そうだね…じゃあ、僕も…」


シェイルにならって、ラルクも肉を口に運ぶ


「「っ!!?」」

(あ、この世界の人の口に合うかとか、考えた事なかった…)


いつも、何処か抜けてるユウキは、ココでも自分のミスに今気づいたのだった

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