フリーマーケットスペース

「あ…うん、僕が作った薬系をどう販売したら良いか分からなくて

 依頼で消化できないかなぁ…と」

「まぁ!あなた、そんなに小さいのに、もう薬術師なの!?」


女性は驚いたように…いや、本当に心底驚いて言った


「僕、別に薬術師ではないけどね

 あちこち行った時に、色々拾い集めたから

 それを元に作ったものだし…」

「あら、冒険者かしら?」

「うん、そうだよ」

「なら、せっかく作ったんだから、自分のために使えば良いんじゃない?

 品質そこまで良くなくても、無いよりはあった方が助かるはずよね?」

「品質は分からないけど、沢山出来たし、僕そこまで使わないから」


と言うより、まだ1度たりとも使っていない

と言うのは、伏せておく


「あら、そうなの?

 冒険者で薬を売りたいなんて珍しいわねぇ」

「そんなもん?」

「そういうものよ

 だって、自分で作った方が消耗品での出費を抑えられるでしょ?」

「まぁ、そうだけど…」

「私からすると、助かるけどね」

「と、言うと?」

「私がその依頼の依頼主なの」


そう言われて、ユウキは依頼の下の部分…依頼主の名前を見る


「えーっと、シェイルさん?」

「えぇ、そうよ」

「何で依頼主が、ギルドの掲示板の前に?」

「あら、依頼をする時は普通にギルドに来るものよ

 それに、私の依頼は、ギルドで受けて私か夫の所に来てもらうものだからね

 少しココにいて様子を見ていたのよ」

「へぇ~…そうなんですねぇ

 じゃあ、聞きたい事があるんですけど…」

「良いわよ、何でも聞いてちょうだい」

「僕の作った薬を販売したいんですけど、どうすれば良いですか?」

「普通の薬術師なら、自分でお店を構えるのが普通ね

 でも、お店までは…という方なら私の所がお勧め

 私達は冒険者用品を扱っている道具屋でね

 勿論、普通に仕入れ先や自分で作って出してる物もあるんだけど

 フリーマーケットスペースを設けてるの

 場所代は1ヶ月で1000セレス

 そのスペースで、自分の売りたい物を置いてもらう

 でも、そこでは、店番なんて必要ないのよ!

 フリーマーケットスペースには、自動精算という魔石があって

 そこで、自動で清算されるわ」

「なるほど…(簡単に言えば無人販売って所か…)

 でも、それと、この依頼ってどう繋がるの?」

「これは、売り物の調達と、フリーマーケットスペースを使う人の募集よ

 まぁ、主に、募集に重きを置いた依頼なんだけど

 ギルドは依頼じゃないと、置けないからね」

「なるほど…じゃあ、とりあえず、コレ受けてくるよ」


ユウキは依頼の紙を持ってカウンターに向かう

しかし、なかなかに長蛇の列で、受付のお姉さんの所に辿り着いた頃には

ユウキは少し疲れていた

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