第9話
ナイトメアは夢と夢のシンクロが原因で発生する存在だ。シンクロした夢がこの世界に形成した場、そしてその場に集まる負の感情を苗床にして奴らは生まれる。
その行動原理は単純で自身の存在の増大と増殖だ。
奴らは人の夢にとり憑き、それを支配する。支配された人間はナイトメアの起源となった感情を他人が発するような振る舞いをする。例えばこのナイトメアに憑かれていた高校生は本人の性格に反して家や学校でゴミを散らかすようになった。こうしてナイトメアは現実世界に干渉する。支配された人間の行動のことをナイトメア・シンドロームという。
ナイトメア・シンドロームによって現実世界で人々の負の感情が煽られる。そうすることで人々の見る夢にも影響が現れる。干渉を繰り返すことで自身の苗床により多くの人の夢を結びつけ、より多くの負の感情を集めることでナイトメアは強大な力を手に入れる。
強大な力を得たナイトメアはやがて夢の深層へと侵攻を開始する。夢の深層の中心にある泉。あれは人の無意識へと通じている。
ナイトメアは無意識へ溶け込むことで世界中の人々との融合を果たそうとしているのだ。それがどれほどの影響を人類に与えるかは未知数だが、目に見える変化が現れたときその被害は甚大であろう。
おそらくではあるが全人類の素行がほんの少しだけ、だが確実に悪くなるのだから。
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