第2話 8月初日
自分の抱えた問題が多すぎて、正直死にたい気分だった。職場の上司への怒りや、父のギャンブルでの金遣い、祖父母の終活、引きこもりの兄からの八つ当たり、弟の難癖からの問題。
全てが、自分にのしかかってきて本当に生きることが嫌になっていた。これらの問題のせいで起きた二次災害、それこそが彼女を放棄するというひどい待遇だった。
自分から好きになって告白して付き合ったのに、2週間ほど連絡を取っていなかった。彼女も自分も8月いっぱいでこの職場を辞めるのだが、仕事中はほとんど避けて無視をした。
もう流石に呆れられたと思った。だが、彼女が無理やり話しかけてきて話した結果は。
「わかった、じゃあ問題が解決するまで待ってるね」
だった。
正直、どうすればいいかわからなかった。彼女を優先することを出来ないし、それでも我儘を言えばこの彼女を誰にも渡したくないという欲もあって自分がわからなくなっていたのだ。きつい当たり方をしたにも関わらず、涼しい顔で言った。
「そんだけ抱え込んでる君に、私との問題の解決を求めても正当な判断じゃないでしょ?単純な話、今の君から私のとのことを聞く気はないからね」
時間が経ってから思えば、逃げられたんだと気付いたがその時はそれで承諾した。
それから距離の離れた関係が続いた。
『君のことだから、気が付いたかもしれないけど君と話ができるまでずっと、ずーっと不安だったんだよ?連絡しても返事はないし、遊ばれたのかなって。
でも会った君を見たらそんな自分の感情放り投げて心配になった。そん時実感したよ。
あぁ、いつの間にかこんなにも君のこと好きになってたんだって。
それから話を聞いて、確信した。この人の重荷にならないためには今答えを求めるべきじゃないんだって。だから、聞く気はないなんていい方したけれど待つことに決めたの。
君とは初めから上手くいかないようで上手くいく気がしてたから、待てると思ったの。
けどちょうどこの日の晩、私は身体の違和感に気がついて病院に行った。
そしたら、命が9月まで保ちませんなんて言われた。頭が真っ白になった。原因のことも、治療のことも何回も聞いたのについには頭に残らなくなった。9月の上旬に迎えるはずだった私の誕生日はどうやら迎えられないと確定されてしまった。
もしも気になったなら、弟に聞いてくれて構わないよ。弟には聞かれたことは話すようにって言ってあるんだ。
そこからの私はちょっとおかしかったと思う。話せる知り合いに話してお酒飲んでの繰り返しで、話した後は吐いてを繰り返してたんだ。』
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