あの日の言葉の真意を3日後に。

夜明 旭

第1話 プロローグからエピローグへ

『拝啓、何も知らされずに驚いていただろう君へ。


君のことだもの。いつも通りの時間に目を覚まし朝から家事を済ませて、仕事に行く準備をして嫌々な気持ちで玄関の鍵を閉めただろう。

なんなら朝から大合唱するセミの声に苛立ちすら覚えていたんじゃないかなって思ったりもする。

電車に揺られて駅について、職場までの道を早足で歩きながら君の好きなアーティストの音楽を聴いて一旦喫煙所で一服……ここまで合ってたなら私もちょっとエスパーだ!なんて言えるかもしれない。笑

一服済ませた後は何気に辺りを気にしながら私が居なければそのまま従業員用の入り口に向かっている。実は君が私の愛用する改札口を気にしているの知ってたんだよ。

今日は君に会えなかったから当然真っ直ぐ従業員用の入り口に向かっていって、独り占めしたエレベーターの中の真ん中……エアコンの涼しい風が当たる場所で着替え室のある階まで上がったに違いない。

ここからは簡単だよ、タイムカードを押す時間になっても来ない私を少し気にしながらも段取りの悪い上司の指示に従って開店準備。

朝礼で私のことが一切出ないことも気にしながら、きっと君は休憩時間を迎える。

なんならパートのおばちゃんに私のことを聞かれるがこっちが聞きたいわ、だなんて思ったりしてないよね?

休憩時間でお昼に何を食べようかなんて、考えていたら店長に呼び出される。

この後上がっていいから会ってほしい人がいる、なんて意味深なことを言われて流れるがままに下のカフェへ。

そこにいたのは、何処か私と顔の雰囲気の似た自慢の弟。そこで、この手紙を読んでいることでしょう。』

1枚目の手紙はここで、終わっていた。



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