第2話大雪の日の救急車
その日は東京で好きなアイドルの握手会があり、前から楽しみにしていました。
しかし前の日から雪が止まず、予約していた高速バスは運休。
同居の祖母にやめた方がいいよ?と言われても諦めきれず、電車を乗り継いで行こうと思い、玄関でブーツを履いていると、今度は母方の祖母から電話が。
私が東京に行く予定を話していたので、心配して電話をくれたのでした。
めったに電話をしてこない祖母に絶対に行くな!!と言われて、やっと諦めがつき、友達に行けなくなったとメールしました。
祖母とこたつにあたりながらテレビを見ていると、電車も止まったと報道されていて、やっぱりやめて良かったな~と思っていた時に再び電話が。
病院からで、父が怪我をして救急車で運ばれたので、至急病院に来てくださいという電話でした。
母は仕事に行っていたので、私が行く事になりましたが、車は雪に埋まっていて出せないし、道も雪かきが間に合わず、タクシーも捕まらず、結局歩いて行く事に。
膝まである雪を踏みしめながら、病院まで歩いて行くのは大変でした。
病院につくと、父は意識がありましたが右手がもげかけていて、すぐ緊急手術を開始すると言われました。
職場の駐車場をバックホーで雪かきしていて、止める時に手を巻き込まれたそうです。
切られた服の入った袋を渡され、書類を書いた気がしますが、よく覚えていません。
そのうち、早退してきた母が病院に到着し、二人で待合室で待ちました。
手術は予定では3時間でしたが、5時間かかりました。
夕食も食べず、ひたすら誰もいない待合室で二人で座っていました。
手術が終わると、病室があいていないという理由で、父は入院せず、3人でタクシーで帰りました。
いつの間にか雪はやみ、道は綺麗に雪かきしてありました。
もし祖母の忠告を無視して出掛けていたら、途中で電車が止まり、行くことも帰ることも出来なくなっていたと思います。
祖母もなぜ行くな!!と電話をしてきたのか、素直に諦めたのか、いまでも不思議です。
父の右手は何度か手術をして、普通に動くようになりました。
たまたまその日病院にいた医師が、腱や血管を繋ぐ手術の専門医だったそうです。
むしの知らせ 最凶エリザベス @yasagureani
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