見上げたのは青か自分か

空も海も雨も悲しいという感情も"青"で表せる僕たちは、それゆえに自分や他社の人格までも色で表し、それを受けいれた。

否、本当は受け入れるしかなかったのだ。誰も自分の色を知らないのだから。


人はそれをレッテルと呼ぶ。自分が望む相手を相手に押し付けるエゴ行為。

晴れて貼られたレッテルに道化を演じて相手の望む自分を自分に押し付けるが余りにも重く、どこかから溢れる雨を止めるために見上げた空は澄み渡る青で。

「君は赤色だ」

なんて空にもレッテルを張ってみるも青以外には見えなくて、僕は再度目を青くした。


哀の青々しい青二才の僕が愛憎を増幅させ自死していくこの感情が痛いくらい気持ちよくて、いっそのことこの痛みに身をゆだねてしまおうかと

「もういいや」

って空に言ったら、青かった空は焼き付けるくらいの赤色になっていて、晴れ晴れするほど赤色になっていて、その瞬間に僕の冷めきった心に赤色がついた。


僕は今日の空に言った。

「僕は白色だ」


世界は黒に覆われた。

一つ、また一つ世界に白い光が増えていく。

それは自身。

それは自信。


ようやく戻った僕の色はもう二度と色を失わない。

白色という絶対に見失わない"色"があるのだから。

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