第10話 どうぞご一緒に参りましょう

安直な考えと、いい加減な行動が、何度も私の心を刺激した。その度、彼が死んでくれるようにと願った。しかし、その翌日には、決まって快調な様子で登校し、私の心の傷を抉るのである。

彼は、嘘つき。それも、質の悪い嘘つき。私もかつては虚言癖があったものだが、今ではすっかり良くなった。

といいつつも、嘘はつく。しかも、相手が気づかない範疇でこっそりと。

都合が悪ければ、黙って笑っていればいい。

聞かれても、曖昧に誤魔化してしまえばいい。

大事な人にほど、つまらない嘘をつく。

相手を、自分をそれによって、安堵させているのだ。

優等生へのアンチテーゼ。正しいことなど、つまらない。

私は、無個性な窮屈さに埋もれて、死にたくはない。

だけど彼は許せない。不良でありながら、優しさがなくて卑しい。貪欲で、意地汚い。遠慮がない。本当の意味での気品を一寸も持ち合わせていない。正直に言って、私は彼のことを好かない。

女でも男でも、自分らしさを持っていたい。支えなど、要らない。

女々しい男の人でも構わない。酔ったら体をくねらせて、私の膝へ寝転び、駄々をこねる人がいい。

死ぬ時は、ご一緒に。まさか私を置いて行くおつもり?そんなの絶対、許さない。

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