第2話 凡人の独白(未完)

独善に陥りて、身を滅ぼしけり。

我、哀しきかな。やんぬるかな。さて、どうしよう。

自負していた。幼少の頃より、国語の能力においては

格別努力をせずとも、人より優れていた。

中学時代に受けた模試では、常にトップクラスに君臨し、

高等学校の学科試験では、難なく満点を勝ち取った。

東京の最難関をも合格圏内に射止めていたほどである。

しかし、私はその栄光にすがり、天狗になってしまったのである。

たかが陰険な文学少女の独善は、高校入学時より足元に暗い影を

落としはじめていた。

愚かなり。愚者としての、無様な独白。

厭世こそ秀逸なる美であると、信じて疑わなかった。

そこへ身を落とすことによって、俗人からの乖離を目指し、

“撰ばれてある者”としての自負心を膨らませていったのである。

デカダンについて語った。エラン・ヴィタールの欠如について論じた。

“死”を究極の美とした。私の心は腐っていった。

自然の条理だ。人生経験の未熟な私が、人間についてあたかも

全てを知り尽くしているかのように、人生論を語るなど、愚かしい。

詭弁だ。いや、それにすら値しないかもしれない。

芥川もこう言っていた、などと賢者の言葉をやたらと引き合いに出すのも、

いやらしい。自分が撰ばれてある、と付け上がっている証拠だ。

殴りたくなる。もういっそ、死んでしまえ!これ以上、生き恥を晒してどうする。

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