第14話 誘拐犯の、捜査とは。
何気なくテレビを見ていただけだった。夕方のニュース番組だった。
「本日未明、高校二年生、十七歳の少年佐藤優太君が家から失踪していることが判明しました。自宅に留守番電話が入っており、誘拐犯とみられる人物から身代金や条件の要求があったようです」
どこにでもあるような名前だが、中学生の卒業アルバムの写真が公開されており僕の知る優太であることがわかった。
「その条件の中には報道番組に通知するような文言もあり、警察は愉快犯の可能性を視野に、慎重に捜査を進めています」
僕はどこから考えればよいのだろうか。僕の命? 友人の居場所?
僕が頼れるのは何もかもを知る河野さんだけだ。ジノリアは――依然謎の人物のままだから。
翌日の放課後、そっと河野さんの家を訪れた。河野さんは何も聞かずに僕を自室に通してくれた。
「私に何か手伝えること、あるかな」
僕が何も言い出さないのにしびれをきらしたのか、彼女は言った。
「誘拐のニュース知ってますか」
短い問いに、彼女は首を縦に振る。
「ええ。もしかして、ご友人とか?」
察しのいい返答だった。
「小学生の時、とても仲良くしてました。・・・・・・僕は一体、どうすればいいんでしょうね」
彼女は考え込んだ。
「わざわざ私の所に来るくらいだから、よっぽどよね・・・・・・」
申し訳なく思えてきて、話題を変えようと口を開いたとき、彼女は言った。
「誘拐された人も契約しているのかもしれない」
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