第13話 契約だけで、終わらない。
ありがちな終わり方だ、と思った。
「そうか、ジノリアか僕が死ねばいいと」
「・・・・・・ええ、そうなるね」
「僕は契約が終了したときどちらにせよ死ぬんだよね。どっちのほうが得なのかな」
なんだか投げやりな気分になっていた。
「それは、精霊の力によると思う。八代さんの契約が終了することで世界が崩壊するような力を手に入れるのであれば、契約は切った方がいい。・・・・・・死ぬのが怖くないの?」
僕はジノリアが破壊の精霊であることを思い出していた。普通の人間でもその力が完全に失われないほどの力を持つならば、僕の命が契約によって尽きる時、本当に世界が滅びるかもしれない。つまり契約は切るしかないのだ。
彼女はもはや不審者を見る目で僕を見た。
「うん」
僕は一言で全てを表現した。
「死ぬのは慣れてるから」
勿論ゲームで、であって、本当の死は手が震えるほど怖かった。
その後河野さんは簡単に契約を切る方法がわかった経緯について説明してくれた。
ある契約者は、かつて僕のように、望まない契約を悪質な精霊によって施され、どうせ死ぬくらいならと自害したらしい。すると契約は切れ、何十倍もの力を手にするはずだった精霊はさまようことになり、精霊の使いによって浄化され姿を消した。
僕はそんな話を聞きながら、僕が同じように辿る運命にあるのか、はたまたジノリアを殺すか、殺すにはどうすればいいか、考えを巡らせていた。河野さんもまた、僕と同じようなことを考えているようで、時折話に間が空いた。
「・・・・・・こればっかりは、私の一存で決めることは出来ないと思うの。八代さんに決めて貰うしかないんだけど・・・・・・」
「・・・・・・考えさせて下さい」
「ええ、勿論。何かあれば力を貸してあげたいわ。まだまだ下っ端かもしれないけど、精霊の使い、として」
河野さんは視線を落とした。
その夜、優太が誘拐されたことを知った。
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