第7話 二人仲良く…

 私は大学の女子寮に住んでいた。

 私の性格に難があったり、夜遊びが酷かったりで、二人部屋の同室は四年間で計三人変わったのだが、その、二人目の同室の子と一緒に住んでいた時の事だ。

 たぶん、試験前とかだったのだろう。二人とも明け方まで起きていた。

ブレーカーが落ちるため、使える電化製品には限りがあり、テレビは大広間横の和室にあった共同テレビしかなかった。情報源はもっぱらラジオだったので、その時もラジオをつけていた。

 ニュースでは、ある老女優がガスコンロの火が服に燃え移って焼死したと伝えていた。怖いね、などと話した後、試験まで仮眠をとる事にした。

 二人同時にベッドに寝た途端である。二人で同時に金縛りにあった。

 彼女はどうだったか知らないが、私は人生初めての金縛りにあった。

 金縛っただけで、何かが見えたとか、出たとか、そういう事は一切なかったのだが、人生初の金縛りがまさかの二人同時という、わけのわからない状況だった。

 世間では、バブルだ、ボディコンだ、と浮かれていた時代の事である。イケイケな女子はTバックで夜明けまでディスコで踊りまくっている時に、我々は女子寮の畳表のベッドの上で同時に金縛りである。思い出すほどに情けない、金縛り初体験であった。


 ちなみに、どのくらい女子寮がボロかったかというと、「お風呂上りに一斉にドライヤーを使うとブレーカーが落ちる」、「すぐ隣の病院に併設されていた看護学校が寮の廊下から見えたが、そこの学生が『あっ!人が住んでる!』と叫んだのが聞こえた」という位、ボロかった。


 

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