EP2.命の学習

翌日、午前中の2時間「命の学習」を行った。

毎年、僕の受け持っているクラスだけ許可を頂いてしていた。

通常は授業なので、他のクラスからは羨ましがられる事が多い。

けどこの時間は、クラスの皆には人生の中の大切な1ページにして欲しいくらい大切な話だと思うんだ。

だって、僕がこの話を大切な1ページにした初めての人間だから。


「では、今から始めるね。あれは10年前、僕が高校になる春の事だった。僕は親の仕事の都合でこの町に引っ越して来たんだ」


~10年前~


「今日からここが我が家だ」


父さんの転勤がきっかけで、この町にやって来た。

周りは、山や川が近くにあって僕は感動した。

僕はどっちかというと田舎の方が好きで、今まで都会だった為、この町に引っ越しが決まった時は喜んだ。

小さい頃に一度来た事あるところで、懐かしさも感じた。


「父さん、転勤終わってもここに住む?」

「んーどうだろう。それは解らないな」

「まぁ、夏樹ったらすっかり気に入ったのね」

「うん!僕、田舎での暮らしに憧れてたから」

「良かった!そう言ってくれて父さん嬉しいぞ」


新しい家に荷物が届いて、荷物を徐々に広げていた時に、


ピーンポーン


こんな時間に誰だろうと?と言いながら母さんが玄関を開けると、


「こんにちは、お隣です」

「あら、お隣さん初めまして!すみません、ご挨拶に伺う予定していたのに」

「良いのですよ。うちが気になって来ちゃったんですから」


お母さん同士ってすぐに仲良くなるってよく聞くけど、本当に2,3言葉会話しただけなのに、今まで付き合いがあった様に話をするんだな。と思ってみていると、


「あら、そちらもお子さんが居るのね。こんにちは」


僕は、思わず緊張してしまい、


「こ、こ、こんにちは」


緊張のあまり、ぎこちない挨拶になってしまい、恥ずかしくなった。


「丁度良かったわ。うちにも娘が居るの」

「娘さんおいくつで?」

「今年、高校生になるんですよ」

「夏樹と同じ年じゃないですか!これもお隣の縁ですね」

「あら、そうだったんですね。確かに凄い縁ですね」


後で聞いた話だが、この町では家の隣に家があるという事も珍しく、更には成人していない子供が居るというのは非常に珍しい事だったそうだ。


「是非、娘さんにもお会いしたいわ」

「今日は、調子が悪くて。また治ったら一緒に家にお邪魔しますね」

「それはそれは…早く治ると良いですね。私はいつでもお待ちしていますわ」

「ありがとうございます。では、また改めて」


こうして、お隣さんは帰って行ったが、


「あっ、お名前聞くの忘れたわ」


母さんは少し抜けてる所があるのだが、引っ越して早速出た様だ。


娘さん風邪かな?と当たり前に考える事を考えてた僕は、この時はまだ彼女の事を知らなかったから考えれた事だと今になって思う事だと思った。


to be continued…

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