ぼくという世界わたしという世界 ≒ ぼくのわたしの閉鎖された空間
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夏休みは終わらない
ぼくはいつもの朝のように鏡に映る自分の顔を見ていたんだが何だか今日はそれが自分の顔じゃないような気がして不安になったんだ「自分の顔じゃない」というよりは「誰の顔でもある」と言い換えた方が正しいかもしれない言うなればそれは「顔」という概念をモデライズしたようなナニカだったのだ楕円形の肌色があり中央に鼻がありその中点を通過するように縦に引いた直線に対して線対称になるようにやや上部に2つの眼があり両側に耳がありそして下部に直線に二等分されるように横に延びた口がありまるでそれはぼくという生き物の身体の一部ではなく単なるモノであり百貨店の倉庫に転がる多数のマネキンの頭部と「代替可能」という言葉を想起させた続いてぼくの思考はなぜか存在論的なものに飛躍しいまここに在るぼくの顔に張り付いている目鼻口耳も元をたどればただの「存在」にすぎないのであってその「存在」という存在がたまたま目鼻口耳という姿で存在しているだけなのだと思った途端にぼくは猛烈な不安を覚えてううううううえと唸ってしまったが最近読んだ小説のようにそこで嘔吐するようなことはなかったアイデンティティって一体全体どこにあるんだろうとか考えていたらバイトに遅刻しそうな時間になっていたのでひとまずその日は何事もなかったかのようにバイトへ行ったがまあぼくの日々なんてそんなもんでこんなのが毎日毎日続いていくんだろう。(日記:「8月32日へ」より抜粋)
空洞
それは空っぽということ
空っぽというのは / 「何もない」ということ
「何もない」というのは
「何もない」が「ある」ということ
わたしは空洞をすぅーっと吸ってみたが
やっぱり
「何もない」は ≒ 「何もない」だった
そして空洞はつづいてゆく
「何もない」をつづけてゆく
どこまでまどこまでも / なんにもない
(詩集:「私という世界の日常」より抜粋)
(中略)
(暗転)
(沈黙)
ぼく「自分ってなんだ自分って一体どこから来てどこに在るんだろう」
わたし「あなたは紫色の光を見たの?」
ぼく「ああ見たさそれに黄色や緑色のもあった」
わたし「それはクルクル回っていた?」
ぼく「分からないどちらかというと浮遊しているように見えたね行く宛もなくふわふわと」
わたし「あなたは沢山の自分を見たのね。いいわ、私が魔法をかけてあげる。いつもみたいに。」
ぼく「よろしく頼むよ外には魔物がいっぱいだからねそれに今夜の予報は雨だ」
わたし「テクマクマヤコンテクマクマヤコン、あなたの停滞が永遠でありますように。」
そうして今日も夜が明ける。
それは神様のつくった時間ってやつの思うがままだった。
ぼくらの世界は今日も平和そのものだった。
ぼくという世界わたしという世界 ≒ ぼくのわたしの閉鎖された空間 ──── @bnbn_magus
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