君が幸せになれますように

「君は何を願ったんだ?」

「秘密です。そんな先輩は何を願ったので?」

「また来年君と会えることかな」

「私は服作ってますけど、先輩働いてなくないですか?」

「手厳しいね、この織姫」

「……思うんですけど。あの二人がいちゃらぶしてたら神様に告げ口されたのって、元々は働き者だったのが仕事をほっぽりだしたからですよね」

「そう聞くね」

「元々仕事してなかったら怒られなかったんですかね?」

「……さあ、どうだろう。頑張って生きてるから、お互い惚れたんじゃないかな」

「そういうもんですか」

「そういうもんですよ」

「……まあ。では、私も織姫ではありませんね」

「そうかも、しれないね」

「……では、また今度、次は……お彼岸がいいですか?」

「僕、帰ってきてるわけじゃないんだよなぁ」

「それもそうですね。……では、まあ、会いたくなったら来ます」

「そうしてくれ。君が二度とここに来ないことを、星に祈ってるよ」

「……先輩。私は、また来年、先輩と会えることを願いましたよ」

「……そうかい。そりゃ残念。君はまだ死んでるのか」

「あなたがまだ生きているんです」

「じゃあ、お願いを変えておく。また、死にたいのに死ねない日が来たら」

「ええ。そのときは、ここでまた」

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