プロブレムチルド3
結局楽斗が教室に入ったのは、放課を終えて、更には授業を終えた後の昼放課の事だった。
学校に着いていたのは十一時位だったのに気がつけば十二時を超していた。
何故そんなに遅くなったのか。それはあの三人組に自分と大野は何の関係もなく、ましてや付き合っていないと経緯を説明するのに多大な時間を費やすことになったからだ。
いや、この言い方だと語弊がある。おそらく単に経緯を説明するだけだったら二分の一も時間がかからなかっただろう。説明を文字を書いて文で表すならともかく、言葉にしていたのだから尚更だ。だが、
後は分かるだろう?
しかし、その苦労は無駄になることはなかった。三人組は説明に納得するだけではなく、これからこういう事あったら
なんて友達思いの連中なんだ。女相手だったら分からないこともないけど、男相手にこの待遇をしてくれるなんて。
三人組が戸籍上の性別なんて気にしない主義━━━容姿主義だと言うことを、楽斗が女として見られているという事実を忘れて楽斗は感動していた。
「━━━と言うことだったんだよ!」
「あ、あぁ。良く分かった。分かったからこれ以上顔を近づけて話さないでくれ。
只でさえ昨日の大野の事件で学校中がホモに敏感になっているというのに誤解されるようなことをするんじゃない。後オレはまだ食事中だ。気を使ってくれ」
食事をしていた手を止め、プイッと顔を背ける
「別に俺とお前の中なんだからいいだろ」
「馬鹿!誤解されるような台詞を言うんじゃない!!!」
そう言って大毅はちょいちょいと楽斗の視線を周りに促す。
「?......は?」
そこで楽斗はクラス中の視線が、昼食を食べているものも含め全員の視線がまっすぐ自分に注がれていることに気づいた。
(((あれ?楽斗って大野と付き合っているんじゃ無かったの?)))
教室に遅れて入ってきたと思ったら、自分の机に向かわず真っ先に大毅の机に向かった楽斗に、好奇心丸出しで、スキャンダルを狙うような記者の目を向けていた。(三人組は出席していたのにも関わらず授業を無断で欠課したので生徒指導部に連れていかれていた)
その視線に気づいた楽斗は、このクラスで唯一の同姓の友達に話しただけなのに何故こんな目で見られるんだと、沸き上がる怒りを今この場に居ない大野に向ける。
(......これは時間がかかりそうだな。予定を早めて今日の帰りにでも本を買っておくか)
その様子を見て食事を再開した大毅はそう決意した。
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