第111話 星と月と宙(そら)の下

 拍手喝采、というのはこういうのを言うのだろう。

 学園長の挨拶の時も、ケイ先輩の送辞の時すごかったけど。

 よく雷に例えられるけど、本当にすごい拍手が巻き起こるとそれだけで大迫力だ。


 意外だったのは、教頭先生だ。

 笑顔で拍手をしていた。

 今まで笑ったところを見たことがなかっただけに、なんかびっくり。

 教頭先生も笑うことがあるんだなぁ……なんて、聞かれたら怒られそうなことを思ってしまった。

 今にも怒鳴り込みそうな形相に見えたんだけど……もしかして涙をこらえていた……なんて、さすがにないか。

 でも、うん。

 ほんと、トラ先輩らしい答辞だった。


 残りの式次第もつつがなく進んでいき、いよいよラストの校歌斉唱を残すだけになった。

 うちって、何かしらのイベントがあるたびに校歌を歌うもんだから、なんだかんだでちゃんと覚えてる。

 中学の時なんて、結局卒業の時までうろ覚えだったっていうのに。

 歌詞が結構キレイだから、なんか好きになっちゃったし。

 って、この間なゆに話したら、同じこと言ってた。

 曲自体は、ポップスっぽいとかそういうことはないんだけどね。

 あ、でも、『星と月とそらの下』ってタイトルまであるのは珍しい、かも?


「校歌斉唱。

 皆様ご起立をお願いします」


 来賓の方含め、体育館の中にいる全員が立ち上がる。

 少しの間をおいてピアノの前奏が流れ始める。




 夏の空越えて 語る声は

 遠い日 一緒に見たデネブの声


 いつか 誰の手にも

 光り 瞬く その日まで

 そっと つれそいながら

 共に歩む 星がある


 月の歌を聞き 宙に舞えば

 星と勇気と 花の宝箱



 きっと この光も

 いつか誰かに届くように

 ぎゅっと 握りしめて

 伝えたい あの空へ


 月の歌を聞き 宙に舞えば

 星と勇気と 花の宝箱




「以上をもちまして、第32期、流星大付属女子高校卒業式を終わります」


 さて。

 この後は『卒業生追い出し会』だ。

 急いで準備をしないと!


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校歌の歌詞は、ドラマCD版『流れ星を手のひらに』にて、

御子柴み~こさん作詞作曲の校歌よりお借りしました。


詳細はこちら⇨https://mikorabo.booth.pm/items/304112

(ストーリー的は、すばるたちが2年生になってからのものです)

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