第3話 拉致られて生徒会
それは、突然の出来事だった。
入学式も無事(冷水先輩のおかげで、遅刻せずに済んだ!!)終わり、新しく友達になった子や同じ中学から来た友達と、部活どうしよ~~、なんて話をしていた時のこと。
ガラガラッ!
「このクラスに、星空って子はいるかー?」
突然、大きな声が響き渡った。
ウェーブのかかった髪は綺麗なブロンド。
日本人離れした整った目鼻立ちに、170cm後半はあるだろうスラッとした長身。
えっとえっと、確か今日の入学式で見た……
「生徒会長!?」
そう、生徒会長だ!
誰だかわかんないけど、思い出させてくれてありがとう。
確か名前は……根本エレクトラ先輩。
アメリカと日本のハーフで……って、入学式後の部活説明会の時に話していたけど、近くで見るとすごくキレイ。
あ、目の色も少し青いのかな?
うーん、朝の冷水先輩といい、生徒会ってのは美人さんじゃないと入れないのだろうか。
「で、星空―? いないのかー? 星空―?」
どうやら、生徒会長は誰かを探しに……来た……みた…………い!?!?
え!? 私!?
「あ、あの、『星空』は私、ですけど……?」
「おー! お前が星空かー!
ちょっと悪いんだけどよ、生徒会室まで来てくんねー?
悪いようにはしないからさー」
「え、あの、え!?
私何かしました???」
「んー? いや、別になんもねーんじゃね?
なんか悪いことしたん?」
「いえいえいえいえ! わ、悪いことなんてなにも!!」
口調がちょっと乱暴なのもあって、こ、怖い……。
「じゃー問題なしだ!
ってもまぁ、わりぃな。
なんで星空連れてこいって言われたのか、俺もよく知らねーんだよ。
怒るための呼び出し、ってことはないから安心しな。
つーか、連れてかね―と、俺が怒られちまうからな、頼むわ!」
と言った先輩の顔は、満面の笑みで。
例えるなら、小学生男子の屈託のない笑顔、って感じ?
悪い人じゃないんだなー、ってのはすごくよくわかった。
まだちょっと怖いけど……。
「は、はぁ……。
なんだかよくわからないですけど、私が行かなくて先輩が怒られてしまうのは、忍びないですし。
とりあえず行けばいいんですよね?」
「そうそう! わりぃな!
んじゃこっちな!」
「わ! わ!!
ちょ、ちょっと待って下さい、そんなに引っ張らないでーー!」
いいですよ、と言った途端、ガシッと手を掴まれすごい勢いで引きづられて行く私。
これはもう『連れて行く』ではなく『拉致』と言うんじゃないだろうか。
ほんとに大丈夫なのかな……?
どうやら、今日は美人さんに迫られる(絡まれる?)日のようだ……。
後で聞いた話だけど、その後の教室は私の噂話でもちきりだったそうな。
そりゃそうだよね!
こんな光景見たら、誰だって噂しちゃうよ!
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