おちゃめな一面

父=怖い。


物心がついた時から、父は朝8時頃から23時ころまで家にいない。

夕食を家族4人で囲うのは週末の日曜日だけ。


顔を合わすと、「勉強しろ」「部屋を片付けろ」「漫画を捨てろ」など、

こちらからすると気分の悪くなる事ばかりだ。


そして怒ると稲妻が走るような低い声と奥深い眼力だ。


怖いと思って当然である。

怖い=顔を見合わせたく無いという訳で、当然の様に私は部屋にこもる。

ましてや日常会話など皆無に等しい。


ただ、たまにおちゃめな一面もあった。

おならだ。


気分の良い時に限るのだが、寝転びながら父はおならを大きな音でした後、

足を大きくグルグルと回す。

やったった!ばりの満面の笑みで。


母の突っ込みの後、私が続いておならをして笑う事もあった。


あと覚えているのは、父方の田舎に車で行く途中、

突然ハンドルを足で操作しだし、どや!顔だ。


車酔いもあり、父の冗談に付き合う暇はないのだが。

父が悪ふざけをする時は、いつも子供のような無邪気な顔だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る