心霊写真の噂(後日談)


「先輩、先日後前さんが撮った写真が出来上がったとのことなのでもらって来ました」


 秋心ちゃんは指先に一枚の写真を挟みひらひら振っている。

 いつものように向かい合って腰掛けた後、その写真に視線を落とした。


「うへぇ……こりゃまた大量だな」


 俺と秋心ちゃんが二人並んで無愛想な表情をのぞかせているその画の中には、わんさかと幽霊らしき影が写っている。

 そのどれもが俺を睨んだり首に手を回したりしているから辟易とするね。いくつかは秋心ちゃんをじっと見つめてはいるものの、その目付きは俺に向けられるものとは裏腹に優しい顔をしているから尚更嫌気がさした。

 後前さんの言うことはどうやら正しいみたいです。


「あたし写真立てを買って来たので、これに入れて飾っておきましょう」


「えぇ……嫌だよ、こんな不気味で不吉な写真」


 俺の意見も無視して作業を行う秋心ちゃんは俺の不満とは対照的な笑みを浮かべている。


「オカ研らしくて良いじゃないですか。ピッタリです」


 窓際に置かれた写真立ての中で俺は先程より一層気怠げな表情を見せていた。



おわり

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