第25話激戦開始

さっそくエルはキキョウの許可を得て作業に取り組んだ。

 まずはグリムの大部隊が進軍すると予測されるポイントに大型地雷を設置。次に遠く離れた場所にある崖上からの攻撃供えて仮拠点の設置。その後もやることが多く、ファースト内の軍人全員が総出で作業を行っていた。

 エルは基地全体のバリケードを作っていた。

 隣にはカレンが汗を流しながら同じように作業していた。

「なぁ、カレン。お前は怖くないのか?」

 エルの問いにカレンは作業を続けながら答えた。

「隊長から聞いた時は怖かったですよ。でも王国には大事な家族がいるんです。そう易々と逃げるわけにもいかないでしょう?」

「ふ、それもそうだな。それでこそ01小隊の隊員だ」

 エルは微笑を浮かべながらも心のどこかでイレイの事を思っていた。

「イレイちゃんのことが心配ですか?」

 唐突にカレンに聞かれたエルは動きを止めてカレンの方に振り返る。

「な、何でわかった」

「最近思っていることが顔に出ているんですもん。いいことなんですけどね」

 カレンはどこか上機嫌の様子で鼻歌をしながら 杭を打ちつける。

「イレイちゃんのことなら大丈夫ですよ。絶対に無事にここに帰ってきますから」

「今帰ってくるのは嫌だな。まだ王国内の方が安全だし」

 エルがカレント楽し気に会話をしていると「隊長! 早く仕上げねぇといけねぇのに何してんだ!」と親方にどやされてしまった。

「わ、分かってる!」

 エルは止まっていた手を動かし始めた。


「こちら02。フロウが移動を開始」

 偵察に出ていた02小隊の隊長から全員に向けて通信が入った。

「よし、これから大規模な防衛作戦を行う。各自、持ち場に付け!」

 キキョウの指示でそれぞれの持ち場についていった。

 エルとカレンは基地の最終防衛ラインに配置されていた。

 ロードがないエルは戦力にはならない。

 しかし、彼は戦うことを選択した。

「分かってるね。ロードの改良が出来次第乗って戦ってもらうよ」

「承知しております」

 キキョウの通信を聞いたエルは大きく背伸びをした。

「隊長。ロードが来るとしたらイレイちゃんも来ますよね?」

 横に立つブレイブからカレンの心配した声が聞こえる。

「大丈夫だ。そん時は俺が絶対に守って見せる。死なせるなんてことはしない」

 エルが地面に置いてあるロケットランチャーを担いだ。

 それと同時に遠くから爆発音が聞こえて来た。作戦が動いた合図だ。

「カレン! お互い生きてここに帰るぞ」

 エルの言葉にカレンは「もちろんです隊長」と自信満々に答えてくれた。

『こちら02! 試作機が飛翔! 崖上に到達! タレットを頼む』

 エルは予想通りの動きと踏んでポケットに入ってあるスイッチを押した。

『タレットの展開確認!』

――姫様。今度こそ必ず助けます。そのためにも私の無礼お許しください。

 エルは深く深呼吸すると作戦が祈る様に願っていた。

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