第5話小さな葛藤
イレイを部屋に送り、風呂と夕食が終わるとエルは自室に戻り、ベッド下の床板に隠してあるロリの写真集を取り出し読み始めた。
「うーん。イレイを見てしまうとどうも他の子が霞んでしまうな。確かに可愛い子が沢山いるが、どうも何か違うんだよな」
悶々と考えているとドアから小さくノック音が響いた。
「隊長。俺ですけど入ってもいいですか?」
ロイドの声を聞いたエルは写真集を隠さず「ああ、別にいいぞ」と声を掛けた。
ドアを開けて入ってきたロイド。
「隊長。今回はどうしますか?」
ロイドはポケットから何回も折ってある小さな白い紙を取り出してエルに渡す。
「ああ、いつものか」
エルは紙を広げて内容を読むと「お前らも懲りないな」と苦笑した。
「決行は明日です。今回はイレイちゃんもいますからどうかなと」
エルは頭を掻きながら少し考えた。
「見つかったらどうするんだよ」
「そのための隊長じゃないですか。作戦を考えてくださいよ」
エルはロイドの無茶ぶりにため息を吐きながら「無理だ。時間が足りない」と断った。
「イレイちゃんの全てを見たくはないのですか?」
エルはロイドの発言に眉を寄せた。
「イレイの?」
「そうですよ。多少の無理をしてでも見ようとはしないのですか?」
「み、見たい」
エルはイレイの全てを見るか否かを天秤にかけていた。
――罰則は嫌だ。でもイレイのあの美しさを全て脳に焼き付けたい。
エルは葛藤した。どちらを取るにしてもエルにとってはデメリットが大きいのだ。
「不参加でもいいんですよ隊長。その代わり、作戦が成功したら俺達はパラダイスで隊長だけは後で後悔するだけです」
ロイドの言葉の一つ一つがエルの考えを一層深くしていく。
「男は黙って危険を冒してでもロマンを追いかけるものです。さぁ、隊長。行きましょうパラダイスに」
「……ロマンか」
エルの考えは決まった。男はロマンを追いかける生物。多少の危険ぐらいで逃げるわけにはいかない。
「仕方ねぇな。お前がそんなに言うなら俺も参加してやるよ」
「い、いいんすか!?」
「静かにしろ。誰かに聞こえるだろ」
エルは人差し指を口に当ててロイドを黙らせる。
「計画は俺が何とか考えておく。だからお前は仲間を五人か六人ぐらい用意しろ。いいな」
「了解です」
ロイドはニヤつきながら部屋を出て行った。
「さて、明日は早いから俺ももう寝るかな」
エルは写真集を元の場所に戻すと、上着を椅子の背もたれにかけた。
簡素なベッドに寝転がると直ぐに睡魔が襲い、寝てしまった。
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