Ep.2
蛍光灯の硝子にまみれた階段を、駆け下りる。上靴の下で、ザリ、と嫌な音がした。
ぐらり、と眩暈……いや、地震だ。余震とも言うべきか。足がもつれる。
手すりに縋り付くように蹲る。幸いにも蛍光灯は全て落ちきってしまっていて、何も降っては来なかった。
「……っ」
私は、一足飛びに階段を下りて、友人の名を叫んだ。
「望月!」
私はいつものように、日誌をまとめて、ついでに生徒会室の掃除をして……そのまま、疲れていたのか、眠ってしまった。そして……地面の揺れで飛び起きた。
降ってくる書類やら蛍光灯やら硝子。倒れる書棚。咄嗟に長机の下に潜り込んだのは火事場の馬鹿力と言えよう。
それからの数分間、私は、荒れていく生徒会室を見ている事しか出来なかった。揺れる校舎がすっかり静寂に満ちているのが不思議で堪らなかった。
「望月!」
直前の記憶が確かなら、望月は学校にいたはずだ。
結城捜索は一向に進展せず、今日は学校で何かを調べると言っていたはずだ。
―御崎栞は、走る。
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