第12話 薬草の森は……
「マスターに緊急報告です。たった今、各層に散らばっている矢羽と雷羽のすべてが変質し、ダンジョンの理から外れました。
……続けます。今、第2層の飛びウサギ、青狸、飛針野ネズミが変質し、ダンジョンの理から外れました。第1層、第2層の淀みが変質し、ダンジョンに影響を与え始めました。第4層の淀みが変質し……」
頭に響くその声と同時に、少し離れた淀みがある場所から白い光が立ち上った。
「どうした、コイル?」
ミノルとリーファンが顔を覗き込むが、コイルはフェイスの声に集中して、返事も出来ない。
リング上では、我に返った桃旗隊の3人がチャンスとばかりに攻撃を仕掛けたが、すでに体力も消耗しており、呆気なくフェンと龍王に押し倒され、抑え込まれた。
今まで熱狂していた観客だが、そんなリング上の攻防にも見向きもせず、辺りを油断なく見まわし、異常の原因を探そうとしていた。
下の層にある淀みからも、白い光が立ち上っている。それはやがて上の層へと連鎖していった。風がキラキラと光を撒き散らし、空気さえも変質したような気がする。
そしてついには、目の前にはっきりとわかる形で示されることになった。
リングの上にいたフェン、龍王、そして上空で見守っていた秋瞑、マツ、八咫烏たちも全てが、光に包まれその姿を変えていく。コイルの頭にはフェイスの声が流れ続けていた。
「コイル、コイル!」
「……ん」
「……ました。続けて詳細をお伝えします。
矢羽が聖獣「
雷羽が聖獣「朱雀」へと進化しました。
飛針野ネズミが聖獣「フワモコ」へと進化しました。
飛びウサギが聖獣「ユニホーンラビ」へと進化しました。
青狸が聖獣「白狸」へと進化しました。
サンダーボアが聖獣「バロン」へと進化しました。
魔蛇が聖獣「
ヴリトラが聖獣「エキドナ」へと進化しました。
八咫烏が聖獣「
金烏が聖獣「鸞らん」へと進化しました。
羽鹿が聖獣「ペリュトン」へと進化しました。
白王が聖獣「神鹿」へと進化しました。
鬼熊が聖獣「ヒバゴン」へと進化しました。)
鬼が聖獣「覇山」へと進化しました。
氷狼が聖獣「白狼」へと進化しました。
フェンリルが聖獣「天狼」へと進化しました。
龍が聖獣「神龍」へと進化しました。
罠が妖精へと進化しました。
各層にある全ての淀みの負の想いが昇華され、純魔力泉になりました。
ダンジョンに属するすべての要素がダンジョンの理から解放され、以降は聖域の理のもとに存在します。
ダンジョンのインターフェイスはこれ以降、聖域とマスター・コイルを繋ぐインターフェイスとなります。
マスター・コイルはこれ以降、聖域の
ダンジョン「薬草の森」は聖域「薬草と脳筋達の森」となりました」
「……え?脳筋たち……」
「どうした、コイル、大丈夫か?……何か、さっきから光ってるぞ」
「あ、うん、ミノルさん、大丈夫だよ。このダンジョン……聖域になったんだって」
「はあ?」
「ここ半年ほど僕が居座って淀みと魔獣たちに影響与え続けたせいらしいんだけど、薬草と脳筋達の森になりましたって。で……あのさあ」
身体の周りに見えないけれど、光のような何かをまといながら、コイルが困ったようにつぶやいた。
「……僕のギフト、パーソナルスペースから
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます