噂の二説

ある島の十字路には不思議な噂話がある。


信号のない十字路で向かい合わせにカーブミラーが設置されてあるのだが、

満月の夜にその十字路の中心に壊れた物を置いておくと、

次の日の朝には綺麗に直されているらしい。


その十字路は周りを畑に囲まれている為

昔の人は農具が壊れてしまった時に直してもらっていたそうだ。


ある日、その不思議を確かめようとした者が壊れた農具を置き

夜が深まってから見に行った事がある。


家に戻ってきたその人は

「慣れている道なのにどうしても迷って十字路に行けなかった」と

待っていた友人に話した。


その人は直して貰った農具を取りに行った後から

死ぬまで一度も嘘をつかなかったとそうだ。




唯の噂。

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