霊関係の話⑳ こっくりさん

 応援イラストを見ていて思い出した話。


 中学の頃だったか、小学生の頃だったか、定かではありません。記憶にある景色は、夕暮れ時の薄暗い教室で三人か四人の女生徒がきゃあきゃあと騒ぎながら一つの机を囲んでいる姿です。


 私はそれを廊下から見たのです。たぶん隣のクラスとかでしょう。長く伸びた影が西日の当たる窓からも、机や椅子からも、その女生徒複数の足元からもまっすぐに伸びていました。


 気付いたのは一瞬です。こっくりさんをやっている場所のあの独特の空気が嫌で、さっさと逃げ出そうと思って足を速めた時でした。

 ふと、四人の足元から伸びる影の一つが、ヘンな方向へ伸びている事に気付いたのです。皆、同じ方向なのに、一つだけが引っ張られるように教室の後ろの濃い闇へ伸びて、途中で消えていました。


 ちらりと見ただけで、私はすぐに足早にその場を退散してしまったので、ただの見間違いかも知れません。こっくりさんに関しては、噂話で同じ学校の生徒がこれをやった為に狐憑きになったという話も流れていまして、関わり合いになりたくなかったのです。


 子供の頃の記憶というのは適当で、その後にどうこうという部分はすぽんと抜け落ちていたりします。実際、あの影がどうだったか等も、今の今まで忘れていたくらいです。自身も怖いもの見たさで何度か交霊術をやったりしたものの、いつの間にやらタブーとして畏れるようになっていました。これといって理由もないのに、我ながら不思議です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る